HOME > 法律コラム > 監視カメラとプラシバシー保護って両立してるの?
犯罪の抑止力となるべく監視カメラは既におなじみになっています。
また技術の進歩に伴い顔認証システムや集音・録音技術も機能も進化しました。
しかしその一方で、人には、自分の姿を勝手に撮影・公表されたりすることのない自由があります。
これはプライバシー権利として、憲法第13条(個人の尊重)により保障されています。
この監視カメラとプライバシー保護は両立しているのか、寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
施設管理者は、その施設内に不審者の立ち入りがないかなどをチェックする目的、防犯の目的で、監視カメラを置いていると考えられます。
警察の方は、繁華街に設置することが多いようですが、繁華街がトラブルや犯罪が起こりやすい地域であることを考えると、やはり防犯が第一次的な目的ではないかと思います。
先日最高裁で無罪が確定した舞鶴女子高校生殺人事件では、女子高生が亡くなる前に、中勝美元被告が女子高生と歩いていた防犯ビデオがあり、当初は中元被告が犯人であることを裏付ける有力な証拠と考えられていました。
防犯ビデオとはいえ、事件自体の状況を映し出しているものは、そうそうありません。
映像はインパクトが強いだけに、犯人かどうかの判断にあたっても強い影響を及ぼしうるものなので、特に、その証拠としての価値は慎重に検討すべきだろうと考えます。
監視カメラの件で問題になるのは、プライバシーの中でも「容貌をみだりに映されない」という肖像権といえます。
人が家というプライベートな空間を出て公道上を歩いているときや、多数の人が出入りする開放施設や公的な施設にいるときには、他人にその姿をさらすことを受け入れているため、プライバシー・肖像権保護の要請は、プライベート空間にいる場合にも低くなると考えられています。
そして、監視カメラの設置には上記に記載したような重要な目的があり、通常は、撮影された映像も使用されるケースは事件が起きた時などに限定されているので、プライバシー・肖像権を侵害するようなものではないと理解すべきといえます