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個人間の貸付金で発生する利息の税務関係を税理士が解説

個人が友人などにお金を貸して、利息を付して返済を受ける場合、当然のことながらその利息部分については所得税の対象になります。所得税は給与所得や配当所得といった形で、所得をその原因ごとに10種類に区分しますが、その中に利子所得というものがあります。貸付金の利息も利子なので利子所得と思われるでしょうが、利子所得には当たりません。

結論を申しますと、貸付金の利息は、貸金業などのようにそれを事業として行えば事業所得となり、そうでなければ雑所得に該当します。利子所得に該当しないのは、利子所得は預金利息など源泉徴収の対象になる利子を意味するからで、貸付金の利息に源泉徴収は不要となります。

無利息の場合には

事業で行う場合は別にして、個人がお金を貸すとすれば、トラブルになりかねないので他人ではなく親族間で行われるのが通例です。家を購入したり、結婚式の費用に充てたりするために、親から借りる、といったことはよくあると思いますが、この場合普通は利息をつけず、無利息で貸すことが多いでしょう。

税法には取引は時価で行うべきという原則がありますから、無利息で貸す、といった場合、無利息で借りた利益などについて課税問題が生じることがあります。個人が無利息でお金を子供などに貸した場合、原則として所得税はかかりませんが、贈与税の対象になる場合があります。

利息相当額の贈与

贈与を受けた場合に課税される贈与税は、目に見える金銭や不動産だけでなく、債務免除などの経済的な利益に対しても贈与とみなして課税されます。無利息で貸付けを受けることも経済的な利益ですから、その時価相当額について、原則として課税対象になるとしています。

ただし、無利息貸付による利益の金額が小さい場合には敢えて課税しないという取扱いも設けられていますし、何より贈与税の基礎控除は110万円で、それまでの贈与は贈与税がかかりませんから、実務上これが問題になるのは多くありません。

貸付けが贈与とされる場合

むしろ、多いのはお金を貸したのではなく、お金を贈与したと国税から指摘されることが多いです。お金を貸すのに利息を付さないなどということはあり得ないし、何より返済の実績や契約書もないから贈与である。このような指導を受けることがあります。

そうならないよう、お金を貸す場合には契約書を作成したり、定期的な返済実績を残したりするのが重要です。利息も取れれば取った方がいいですが、反面所得税の対象になるため慎重に検討しましょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください

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