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所有権移転外リースの解約の消費税は?賃貸借処理をしている場合は?

実務でよく見るファイナンス・リースについては、税務においてはリース資産の引渡しの際に資産の売買があったとして処理されることが原則です。ファイナンス・リースは、①解約不能か、解約するにしてもリース資産の金額に相当する膨大の違約金が必要になるため、実質的に解約できないものであり、②修繕等のコストを賃借人が負担するため、実質的に売買と変わらないことからこのような取扱いになっています。

ただし、このような売買とされるリース取引(税務上のリース取引)のうち、リース資産をリース期間の終了時にリース会社に返還すべきもの(所有権移転外リース)は、その例外として売買ではなく資産の賃貸借として処理することも認められます。

これらの取扱いは、消費税においても同様で、売買とされるリース取引はリース資産の引渡し時に、支払うべきリース料の総額に対する消費税の控除を受けることを原則としつつ、所有権移転外リースについては、賃貸借としてリース料の支払い時に、支払うべきリース料の金額で消費税の控除を受けることもできます。

所有権移転外リースの解約の消費税

このような取扱いはよく知られていますが、実務上、問題になりやすい税務上のリース取引の処理として、リースの解約の場合の処理があります。とりわけ、所有権移転外リースはリース資産を返すものですから、リース資産の返還の処理なども問題になります。

解約する場合、原則としてリース資産でリース会社に対する債務の代物弁済をした、という処理になります。先に述べた通り、解約の場合にはリース資産の金額に相当する違約金を支払うことになるため、その違約金という債務をリース資産で弁済した、という取引を行ったものとされます。

代物弁済したということは、消費税においては資産を弁済する債務の金額で売却した、という取扱いになりますので、その時点で消費税の課税問題が生じることになります。

賃貸借処理をしている場合にはどうなるか

とりわけ、所有権移転外リース取引について、賃貸借処理をしている場合には混乱します。売買処理であれば、リース資産についてリース料総額の控除を受けていますが、賃貸借処理の場合には支払った金額しか控除を受けていないからです。

このため、賃貸借処理の場合には、いったん解約の際に残りのリース料の全額で消費税の控除を受けた上で、上記の代物弁済の処理を行うことになります。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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