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ムゲンエステート事件の高裁判決が他の裁判に与える影響を元国税が解説

税理士業界で最も注目を集めている裁判の一つに、ムゲンエステート事件があります。この事件は、従来は認められていた、転売目的で仕入れた販売用マンションの消費税の控除について、突如国税が見解を変えて控除を認めないとして多額の消費税を追徴した事件です。国税が見解を変えたことから、同様の事例が多数発生していますが、ムゲンエステート事件はその最初の裁判であるため注目を集めています。

加算税の取消し

今回、この事件の高裁判決がなされましたが、国税が消費税を追徴したことは合法である反面、過少申告のペナルティである加算税については、それを徴収してはいけないと判断されました。国税が見解を変えて課税したと申しましたが、それは従来の解釈が間違っていたために正しくしたと裁判所は評価する反面、見解を変えて納税者に迷惑をかけたのに加算税を上乗せでとるというのはやりすぎ、と判断したと考えられます。

地裁判決では、加算税も取っていい、というとんでもない判決だったため、それが是正されたことは素直に喜ばしいと思います。

国税OB税理士などの反対意見

ところで、本件についてはとある国税OB税理士などが加算税に限らず消費税を徴収することも不当である、といった意見を従来からしていました。この国税OB税理士などのいうことにも一理あり、勝手に見解を変えておきながら何の責任も取らず、今更になって税金を徴収しようという国税組織は酷すぎます。とりわけ、国税は「見解を変えてなどいません」などと裁判で偽証も行っており、詐欺師と言っても過言ではない対応をして来ました。

こういう、「常識」を取り上げて、先の国税OB税理士などが国税は不当、と言いたいのでしょうが、正確に条文を読むと、高裁判決の判断はやはり正しいと考えられます。この点、私はこの高裁判決が出される前から、国税が消費税を徴収したことは合法と言わざるを得ないが。加算税は取り消されるべきと各所で解説しており、その予測が当たったことになります。今後、最高裁判決で覆るかも知れませんが。

他の裁判も見直される可能性

このムゲンエステート事件に関連して、国税が敗訴した他の判決があります。この判決についても、今回の高裁を受けて国税を勝たせる可能性がありますので注意が必要です。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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