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公益法人に寄附した場合の譲渡所得の非課税の特例と寄附金控除の関係

個人が財産を法人に寄附した場合、譲渡所得の原則として、その財産を時価で譲渡したというみなし譲渡の取扱いの対象になります。時価で譲渡をしたことになりますので、その譲渡益に対して譲渡所得税が課税されることになります。

しかし、こうなると、例えば公益法人などに、公益的な事業を行ってほしいがために財産を寄附したような場合も課税されることになってしまいます。このような公益目的について、税制がネックになってはいけませんから、譲渡所得の特例として、措置法40条の特例が認められています。

措置法40条の特例とは

措置法40条の特例とは、個人が公益法人などに一定の財産を寄附した場合において、一定の要件を満たすことについて国税庁長官の承認を受けた場合には、その寄附について所得税を非課税とする制度です。この非課税の承認については、国税庁のパンフレットをご参照ください。

パンフレットをご覧いただければ分かりますが、この制度は非常に複雑ですので、仮にこの特例の適用を受ける場合には、承認申請などの手続きについて税理士などの専門家のサポートを受けるべきでしょう。

寄附金控除との関係

ところで、公益法人への寄附となると、真っ先に思いつく特例としては寄附金控除があります。寄附金控除は、国や地方公共団体、特定の公益法人に対し、要件を満たす一定の寄附金(特定寄附金)を支出した場合に認められる所得控除です。具体的には、以下の算式で計算される金額を控除することができます。

控除額=次のいずれか低い金額-2千円
イ その年に支出した特定寄附金の額の合計額
ロ その年の総所得金額等の40%

ここで問題になるのは、措置法40条の特例の適用を受ける財産の寄附について、寄附金控除が使えるかどうかです。この点、措置法40条は譲渡所得を非課税とする規定であり、所得控除とは関係ありませんし、かつこの特例を使った場合に寄附金控除が使えないとする規定もありませんので、原則として両者を併用して使うことができるとされています。

ただし、寄附金控除の対象になる金額は、寄附した財産の時価ではなく、寄附した財産の原価部分になるとされます。この理由は、財産の時価から原価を引いた部分が譲渡所得となり、それは措置法40条で非課税になるからです。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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