法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 著作権の使用料や譲渡対価と源泉徴収の関係を元国税の税理士が解説!

このエントリーをはてなブックマークに追加

著作権の使用料や譲渡対価と源泉徴収の関係を元国税の税理士が解説!

日本に住所を有する個人の居住者に対し、一定の報酬料金を支払う場合には、源泉徴収が必要になります。源泉徴収が必要になる報酬料金は、所得税法に限定列挙されており、これらのうち有名なものの一つに著作権の使用料があります。この著作権の使用料は、支払時に10.21%の源泉所得税が課税されます。

著作権の譲渡対価

一方で、源泉徴収の対象になるのは著作権の使用料になっていますので、著作権を譲渡した場合の譲渡対価については、源泉徴収の対象にはならないとされています。同じ著作権でも取扱いが大きく異なりますので、注意が必要です。

非居住者の源泉徴収

この源泉徴収に関して、問題になるのはむしろ原則として日本に住所を有しない非居住者や、外国法人に対する支払です。非居住者や外国法人に対し、一定の国内に源泉のある所得(国内源泉所得)の支払いをする場合、源泉徴収が必要になるとされています。

この国内源泉所得には使用料も含まれており、この使用料の中に著作権の使用料も含まれていますので、原則として20.42%の源泉徴収が必要になります。なお、この使用料は先の居住者に対する源泉徴収とは異なり、原則として著作権の譲渡対価も含むとされますので、混乱しないように注意する必要があります。

租税条約と源泉聴取

ただし、非居住者については租税条約も考える必要があります。税法と一言で言っても、日本の法律と外国との条約から成ります。日本の場合、日本の法律よりも外国との条約が優先されるとされており、外国との税金の条約(租税条約)で国内法とは異なるルールを定めていれば、それに従って処理を行う必要があります。

この点、非居住者に対する使用料についても租税条約で日本の法律とは別のルールを定めていることがあり、例えばアメリカとの租税条約においては、原則として使用料は免税とされていますので、著作権の使用料を支払っても、所定の要件を満たす限りは源泉所得税がかからないことになります。

その他、こんなルールも

その他、日本にPE(支店などの拠点)があるような非居住者や外国法人は、源泉徴収された著作権の使用料について、日本で申告納税をしなければならない場合もあります。著作権の使用料はよく出てきますが、いろいろな論点がありますので注意してください。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

それでも税務署が怖ければ賢い戦い方を学びなさい 
それでも税務署が怖ければ賢い戦い方を学びなさい 
詳しくはこちら