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固定資産税に係る法人税と相続税の取扱いを元国税の税理士が解説

法人が所有する土地などの資産について、固定資産税が課税されることがありますが、この固定資産税は原則として経費になります。実務上、問題になるのは経費になる時期ですが、それは原則として、賦課決定通知があったタイミングとされています。

税金は、納税者が自ら計算した税金を申告して納付する「申告納税方式」と、国や地方公共団体が税額を決めて通知する「賦課課税方式」という二つの仕組みに分けられます。固定資産税は後者になりますが、賦課課税方式の税金は、賦課決定通知が送達されたタイミングで納付義務が確定するとされていますので、そのタイミングで経費になるとされています。

固定資産税の通知書が遅れた場合には

先の通り、固定資産税は賦課決定通知が送達したタイミングの経費になりますから、何らかの理由で固定資産税の通知が遅れてしまい、決算日までに到着しない場合には、その年度では経費とすることが原則としてできません。支払うべき固定資産税の額と、それが経費になることで減少する法人税を含めて税金の計画を立てている場合、その目算が狂うことになりますから注意が必要です。このため、例年と同じタイミングで通知が来ない場合には、こまめに自治体に確認した方がいいかもしれません。

相続税の取扱い

ところで、相続税においては債務控除という取扱いがあります。これは、被相続人の借金について、相続税の計算上相続財産から控除できるとする制度です。この借金の範囲に、被相続人の固定資産税などの税金も原則として含まれるとされています。

ここで控除できる固定資産税についてですが、先の法人税の取扱いとは異なり、相続開始時点において賦課期日が到来しているものは控除できるとされています。固定資産税は、毎年1月1日が賦課期日とされ、そのタイミングで納税義務者を決定し、その決定した納税義務者に後日賦課決定通知書が送付されることになっています。このため、その年1月1日を経過していれば、債務控除として取り扱うことができます。

準確定申告はどうなる

その他、被相続人が死亡した場合、所得税の準確定申告が必要になりますが、被相続人が行っていた事業の資産に対して課される固定資産税については、法人税の取扱いと同様、死亡前に賦課決定通知が来ているものは準確定申告で経費とすることができます。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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