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不動産の名義変更で贈与が疑われる?贈与対象外となるケースとは?

贈与税は贈与を受けた場合に課税されますが、いつ贈与を受けたか、現実問題としては分かりづらいこともあります。このため、税務上のルールとして、不動産や株式については、お金を払わずにその名義が変更された場合には、原則として贈与があったとして取り扱われることとされています。

このため、不動産でいえば、登記上所有者の名義の変更があれば、贈与として推定されることとなります。なお、登記情報については、税務署は必ずチェックしていますので、登記を変える場合には贈与税の課税問題が生じないか、検討しておく必要があります。

名義変更通達

一方で、ミスで登記を変えてしまった、というケースも実務ではあります。このような場合にも、原則として贈与税が課税されるとすれば酷い話ですから、このようなケースでも一定の要件を満たす場合には贈与税の対象にしないという取扱いが設けられています。この取扱いを名義変更通達などと呼んでいます。

名義変更通達には、名義変更などがあっても贈与税の対象にしない場合として、いくつかの取扱いが設けられています。

他人名義で取得した場合

父が自分のお金で不動産を購入した場合、その不動産の名義を息子とする、といったケースがあります。この場合には、本来不動産の名義は父とすべきですから、名義が息子に変わったために、原則として贈与税の対象になります。

しかし、以下の場合には、原則として贈与税の対象にしないとされています。

1 財産の名義人となっている者が、その名義人となっている事実を知らなかったこと。ただし、知らなかったことが客観的に分かるようなケースに限られます。

2 名義人となっている者が、これらの財産を使用するなどしていないこと。

3 贈与税の申告期限までに、財産の名義を真実の取得者(上記の例でいえば父)の名義とすること

ミスで名義変更した場合

なお、ミスで名義変更してしまった場合にも、上記3の要件を満たせば原則として贈与税の対象にならないとされます。ただし、ミスや軽率で名義変更されたもので、それが名義変更をさせた者の年齢などから確認できる場合に限られます。

税逃れ目的はダメ

上記のような取扱いが設けられていますが、税逃れ目的でこれらの取扱いを使うようなことは認められないとされています。

いずれにせよ、名義変更すれば贈与税のリスクが生じる訳ですから、登記などは慎重に行うこととしましょう。

専門家プロフィール

元国税調査官の税理士 松嶋洋
東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。現在は118ページにも及ぶ税務調査対策術を無料で公開し、税理士を対象としたコンサルティング業を展開。

※注意事項:記載については、著者の個人的見解であり正確性を保証するものではありません。本コラムのご利用によって生じたいかなる損害に対しても、著者は賠償責任を負いません。加えて、今後の税制改正等により、内容の全部または一部の見直しがありうる点にご注意ください。

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