HOME > 法律コラム > 父親としてはパーフェクトな旦那。でもパートナーとして唯一つ許せないのが女装癖。女装癖を理由に離婚できるの?!
会計士として働く夫は父親としてはパーフェクト。
子供の面倒もしっかりみてくれ、休日の家族サービスも完璧。
ただ唯一許せないのが、知人を通して聞かされた旦那の女装癖。
夫のように女装癖がある男性が働くお店のホームページには、夫と思われる写真が幾つか掲載されていました。
さて、こういった理由で離婚できるのかどうかを理崎智英弁護士に聞いてみました。
まず、法律上、一方的に離婚が認められるためには、婚姻生活を継続しがたい重大な事由が必要です。そして、当該事由があるか否かは、客観的に判断されます。
単に、夫の趣味が嫌いだとかという主観的な理由では、上記事由は認められないので、離婚することはできません。
しかしながら、稼いだお金をろくに家計に入れずに趣味のために費やし、当該趣味のために夫婦共同の生活をないがしろにしているような場合には、上記事由に該当する場合もあるでしょう。
女装癖という趣味も、当該趣味に没頭しすぎて、夫婦生活をないがしろにしているような場合には、上記事由に該当し、離婚できる場合もあると考えます。
さらに、女装癖という趣味は、スポーツや自働車、バイクなどの趣味とは異なり、かなり特殊な趣味であり、いまの日本社会において社会的に許容された趣味とはいえません。
そのため、結婚前に夫が女装癖であることを知っていたならば、妻は結婚しなかったでしょうし、一般人を基準にしても、女装癖の夫とは結婚をしたくないと考えるのが通常かと思いますので、夫が女装癖であるという理由だけで婚姻を継続しがたい重大な事由に該当し、離婚が認められるものと考えます。
上記のとおり、女装癖は離婚事由となり得ますので、夫が女装している画像は、夫の女装癖を証明するための重要な証拠となります。
なお、夫が当該画像を本人だと認めない場合、夫が女装癖であるという事実を知っている店側の人間に、「画像に写っている人間は確かに夫である」という内容の証言をしてもらうことができれば、上記画像の証明力(信用性)はさらに上がることになります。
夫の女装癖が理由で婚姻関係が破綻し、離婚をした場合、妻は、夫に対して、慰謝料を請求することができます。
もっとも、これまでの裁判例によると、離婚の場合の慰謝料額は、高くても300万円くらいですので、生活費に不安がある場合には、別途、財産分与等を求めていくほかはないでしょう。