HOME > 法律コラム > エド・はるみさんの誹謗中傷対策から考える「特に悪意がなく、事実をそのままネットに書くのはOK?」
お笑いコンビ・ダウンタウンの松本人志さんが出演する、今月12日放送のフジテレビ系『ワイドナショー』にて、一連の誹謗中傷行為に対して、今後は法的手続きを取ると発表したお笑い芸人・エド・はるみさんについて言及しました。
番組ではエド・はるみさんが誹謗中傷されるきっかけとなったネット上の書き込みにもふれていました。
エドさんが利用した飛行機の席が、空調の真下だったため席を変えてもらえないかと申し出ると、席が無いと断られ、でもどうしても我慢できなかったエドさんは他のCAに再度お願いしたらすんなりOKを貰い案内されました。
最初に頼んだCAに席がみつかったことを伝えると「はぁ?なにか?」と言われたそうです。
揉めたくなかったエドさんは何もしなかったそうですが、しばらくするとネットでは「性格が悪いエド・はるみ CAに嫌われる」といった内容で炎上しました。
今回は悪意がある内容に書き換えられたことによってニュースになりましたが、もしもそのきっかけとなった出来事を、起こった事実のみを忠実に表現していたとしたら、その書いた人にはなにか問題があるのでしょうか?
ネット上での誹謗中傷対策に強い清水陽平弁護士に聞いてみました。
起こったことや事実をそのまま書いた場合には、その書込みをしたとしても、基本的には何か問題になるということはないといえます。
名誉毀損の問題を生じるためには、ある書込みが人の社会的評価を低下させるものであることが必要です。
そして、仮に社会的評価の低下が生じても下記条件を満たせば名誉毀損にはなりません。
(1)公共の利害に関する事実であること
(2)公益を図る目的があること
(3)当該書込みが真実であるか、真実であると信じる相当な理由があること
起こったことや事実をそのまま書く場合、(3)を満たしますし、そのような場合(1)、(2)については通常は問題にされないのではないかと思われます。
したがって、この書込みが問題であるということはできないということになります。
そして、誹謗中傷のきっかけとなってしまった場合でも、その性質が変わるわけではないので、結論は変わりません。もっとも、誹謗中傷をしている人については、別途、名誉毀損等が成立するかどうかを検討する必要があります。