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【恋愛の自由 VS 社内恋愛禁止】社内恋愛禁止を破ったらクビって有効なの?

就業規則で社内恋愛が禁止されているという人は多くいらっしゃると思います。

しかし人を好きになる時には、理屈などなく、運命の人と感じた人が同僚ということも十分ありえますよね。

では社内恋愛が禁止されているにもかかわらず、それを破って交際を始め、それがバレてしまった場合、クビになってしまうのでしょうか?

男女トラブルなどに強い山崎佳寿幸弁護士に話を聞いてみました。

社内恋愛をしたら解雇という就業条件は有効なのでしょうか?

恋愛の自由は憲法24条に基礎を置く自由ですので,これをみだりに禁止することはできないと思います。ただ,社内恋愛は,セクシャルハラスメントのリスクを内包しています。そのため,社内恋愛を禁止する就業規則をおく企業もあるようです。

では,社内恋愛を理由とする解雇は有効でしょうか。

この問題のリーディングケースとして,旭川地裁平成元年12月27日判決労判554号17頁があります。
これは,社内である女性が妻子ある男性と交際するようになり,やがて肉体関係を含む恋愛関係にいたり,これが他の従業員・取引先にも知られるようになったことから,女性の勤務先が,その行為が会社全体の風紀・秩序を乱し,企業運営に支障をきたしたことを理由に解雇しました。それに対し,女性が勤務先に解雇の無効確認を求めた裁判です。

裁判所は,「女性が妻子ある男性と男女関係を含む恋愛関係を継続することは,特段の事情のない限りその妻に対する不法行為となる上,社会的に非難される余地のある行為であるから,勤務先の就業規則『素行不良』に該当しうることは一応否定できないところである。しかしながら,規程中の『職場の風紀・秩序を乱した』とは,これが従業員の懲戒事由とされていることなどからして,債務者の企業運営に具体的な影響を与えるものに限ると解すべきところ,女性及び男性の地位,職務内容,交際の態様,会社の規模,業態等に照らしても,女性と男性との交際が勤務先の職場の風紀・秩序を乱し,その企業運営に具体的な影響を与えたと一応認めるに足りる疎明はない。」として,本件解雇は,懲戒事由に該当する事実があるとはいえないから無効であると判断しました。

すなわち,たとえ不貞のように社会的に是認されるべきでない社内恋愛であっても,これによって会社の社会的評価に及ぼす影響が相当重大であると客観的に評価できる場合でなければ,懲戒解雇をすることはできないと理解することができます。

取材協力弁護士  山崎佳寿幸 山崎法律事務所代表 Twitter
熊本県弁護士会所属。平成24年度 熊本県弁護士会副会長。RKKラジオ 毎週日曜日午後4時50分からの「お尋ねください!山崎です!」に出演中。町医者のような法律事務所を目指して運営中。力強い法的パートナーとして、依頼者の権利・利益を守ります。

ライター 大田タケル Twitter Blog