HOME > 法律コラム > 主婦を狙う在宅副業詐欺では個人情報が出回り複数回被害に遭う方も。在宅副業詐欺の対策を弁護士が解説!
インターネットが普及し、リモートでの勤務や、会社に出勤することなく在宅でも仕事が可能な時代になりました。
家庭の事情で働きたくても働けない人や、子供が手離れし空いた時間を使って少しでも稼ぎたいという主婦は急増しています。
でも、そんな事情があることを逆に利用する在宅副業詐欺には要注意です!
今回はこの問題について星野宏明弁護士に話を聞いてみました。
在宅副業被害を含む消費者詐欺に遭った場合,法的な救済方法として民事の手続と刑事の手続が存在します。
民事の手続きは,詐欺グループの会社やその代表取締役,主犯格の人物を民事訴訟で訴え,損害賠償請求するというものです。
在宅詐欺は,詐欺を理由に,支払費用発生の根拠となった契約(副業委託契約や労働契約)を遡及的に取消し,費用の返還請求をするか,もしくは詐欺による不法行為を理由に,損害賠償として費用の返還を求めることが可能です。
民事の救済手続で困難なのが,詐欺グループの特定です。こういった詐欺をするグループは,巧妙に身分を隠し,銀行口座も使い捨ての他人名義であることが多く,住所や氏名,財産の在処を探ることが極めて困難です。
住所(勤務先でも可)や氏名を特定できなければ訴訟ができず,財産の在処がわからなければ,裁判で勝っても騙し取られた金銭を取り戻すことはできません。
会社として存在する場合には登記により詐欺グループの在処を特定することができますが,やはり資産が隠されている場合には,強制執行して損失を取り戻すことが困難となるケースが多いです。
他方,刑事の手続きも,並行して進めるべきです。
典型的には,証拠を集めて警察に相談し,被害届や告発状を提出することです。
ただ,証拠がよほどきっちり揃っているような事案でないと,警察は捜査どころか被害届の受理さえしてくれず,書類を突き返されてしまうこともあります。
他にも被害者がいる場合は,集団で弁護士に相談し,数名分まとめて告訴状を弁護士に作成してもらい,集団で警察に相談するとよいでしょう。
被害者(被害額)が多いと警察も重い腰をあげて動きやすくなります。
すでに説明した民事の手続きでも,1人では証拠が少ない場合などに,同じ被害を受けた人達が集団で提訴すると,立証の面で効果的となることがあります。
事実上できないでしょう。
個人情報を保有している業者が個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に該当する場合には,自己情報の削除が請求できます。
しかし,闇ルートで出回っている名簿保有業者は,自身が詐欺グループであることも多く,個人情報保護法に規定する個人情報取扱事業者に該当しなかったり,該当しても保有業者が特定できなければ削除請求もできず,業者が特定できても違法業者が素直に削除請求に応じる可能性はほぼないでしょう。
被害者名簿は違法業者にとって会社の資産であり,高値で転売することもでき,そう簡単に放棄することは通常考えられません。
違法な転売の証拠が明確につかめれば,名簿業者に対する損害賠償請求ができる可能性もありますが,事実上難しいことが多いでしょう。
被害情報が違法業者に流出していることを前提に被害防止対策を徹底した方が現実的です。