HOME > 法律コラム > 従業員と役員を兼ねた、例えば「取締役営業本部長」等は節税に非常に効果的です!
使用人兼務役員という特殊な役員について聞いたことがあるでしょうか。これは、「取締役営業部長」のように、従業員(営業部長)としての職務にも従事しながら、役員(取締役)でもある役員をいいます。このような肩書きがある役員は、社長などの一般の役員に比して、節税メリットが大きいと言われています。
この理由は、役員給与には厳しい制限が設けられている一方で、使用人給与にはそれほど大きな制限がかけられていないことにあります。例えば、役員に対するボーナスは税務署に所定の届出を提出しない限り、原則として経費にならないとされていますが、使用人に対するボーナスは、原則として経費になります。
先の使用人兼務役員の場合、従業員としての側面があるため、そのもらう給与には役員としての給与と従業員としての給与の二つがある、と言われています。この点を踏まえ、使用人兼務役員に対する従業員分給与のうち、従業員給与として適切な金額は原則として経費となる、という取扱いが設けられています。
とりわけ、メリットが大きいのが先のボーナスです。使用人兼務役員に対する従業員分の賞与は、所定の要件を満たし、かつ適切な金額であれば、原則として経費となるとされています。このため、使用人兼務役員であれば、一般の役員に比してボーナスを出しやすいのです。
このように、非常にメリットの大きい使用人兼務役員ですが、ある役員を使用人兼務役員とするために、税務署に対して届出を行う必要はありません。あくまでも、「取締役~部長」のような肩書きを設け、実際に従業員としての仕事に従事させていれば基本的には税務署から認められることになります。
このため、多くの中小企業は使用人兼務役員を設けていますが、注意したいのは、肩書きが「~部長」でも、使用人兼務役員になれない場合がある、ということです。
(1)代表取締役や専務取締役、そして常務取締役のように、役員としての職責しかないと判断できる役員
(2)従業員であれば時間的拘束を受けるはずであるのに、時間的拘束がない非常勤役員
(3)監査役などのように、明らかに使用人とは言えない役員については、肩書きを問わず使用人兼務役員になることはできません。
(4)同族経営の法人の役員のうち、所定の株式数を持っている者は、会社に対する支配権が強いということで使用人兼務役員になれないとされています(詳細は国税庁ホームページ https://www.nta.go.jp/taxanswer/hojin/5205.htm をご覧ください)
肩書きだけそろえていれば大丈夫と誤解される方も多いですから、十分に注意したいところです。