HOME > 法律コラム > 弁護士が教える「抱き合わせ販売」と「セット販売」の境界線!
抱き合わせ販売とは主に「人気商品」と「不人気商品」をセットにして販売することをイメージされる方が多いと思います。
このケースで考えると、人気商品を買うためには、不人気商品も買わなければいけないという点で消費者に不利益が発生することが問題です。
また不人気商品の販売数を稼ぐために抱き合わせが利用されるとなると、不人気商品を販売する他の競争業者を排除することにもつながるのがが2つ目の問題点です。
しかし「レンタカーをかりる際に加入させられる保険」など、商品同士が密接にかかわっている場合と、個別に購入選択できる場合は不当な抱合せ販売とはなりません。
今回は抱き合わせ販売についての罰則や、その基準を寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
独占禁止法は下記を3本の柱として禁止しています。
(1)私的独占
(2)不当な取引制限
(3)不公正な取引方法
そして、不公正な取引方法を制限するために、公正取引委員会は、告示によって、公正な取引を阻害する恐れがある行為のうち15の類型について、あらゆる業種に対して適用されるものとして「一般指定」しています。
抱き合わせ販売は、この一般指定の1つとなります。
抱き合わせ販売は、ある商品やサービスを販売する場合に他の商品やサービスを強制的に購入させるものを指します。
このような販売方法が問題となるのは、他の商品やサービスを強制的に購入させることによって、他の競争者を排除したり、購入者に不当な不利益を与える恐れがある場合となります。
一般指定されている「不当な抱き合わせ」に該当すると、独占禁止法19条違反となります。
独占禁止法違反に該当すると、一定の手続のもとで、排除措置命令(違反行為の排除を命ずるもの)や課徴金納付命令の対象となる場合があります。
原則的には、このようなケースは不公正な取引方法たる「抱き合わせ販売」には該当しないといえるのではないでしょうか。
2つの商品は、密接に関わっており(そのコーヒーメーカーでなければカートリッジ内の飲物が飲めない)、かつ、カートリッジとコーヒーメーカーは別々に購入することが一応可能といえるからです。
ただ、他の業者がそのコーヒーメーカー用のカートリッジの販売市場に参入するのが阻害される場合には、「抱き合わせ販売」に該当しうると考えられます。