HOME > 法律コラム > 法科大学院卒業生が語る「法科大学院ってこんなところ」
弁護士過多、事件数と訴訟需要の需給アンバランス、弁護士の収入減、弁護士とのトラブル、司法修習生の就職難、低迷する法科大学院とそれに伴う縮小傾向などなど。
今弁護士にまつわる問題は多岐にわたります。
今回は法科大学院卒業生が語る「法科大学院ってこんなところ」と題してコラムを提供していただきました。
知らない人はほとんどいないと思うが、裁判官・検察官・弁護士になるためには、司法試験を受けて合格しなければならない。
そして現在の制度では司法試験を受けるためには、法科大学院を卒業するか予備試験に合格するかしなくてはいけない。
実は小生も法科大学院を卒業しているのだが、この法科大学院に通う学院生たちがどんな生活をしているのか、一般にはあまり情報が出ていない気がする。そこで今回は法科大学院生についてのネタを書いてみます。
法科大学院生が実務実習として弁護士と一緒に法律相談に出かけました。
その日の相談者は多重債務者、つまり借金で首が回らなくなり、この先どうすればいいのか分からないという人でした。
もう自己破産するしかないんでしょうか、と聞く相談者に、弁護士が借金総額はいくらなんですか、と聞いた。
その額を聞いて学院生は驚いた。自分が奨学金で借りている額の、半分にさえなっていなかったからだ。
これは実際にあったことで、もちろん人にはよるが、特に学部学生から奨学金を負っている場合、学院卒業までに借りている金額は、かなりのものになってしまいましう。
この状況で司法試験に合格しなければ、いや、合格したとしても法曹が以前ほどには稼ぐことができない現状にあっては、辛く苦しい返済生活が待っている。
単位取得も学部の感覚とは比べ物にならないほど厳しい。
入学してすぐからほぼ毎日、朝から夜まで、食事とか通学とか風呂とか以外の時間は勉強して、それでも普通に単位を落とします。
期末試験が終わって新学期になると、単位を取得できないせいで何人か同級生が減っている。
必死に戦ってワンステージ終わるたびに仲間が何人か減っていて、こんな状況どこかで見たぞ、と思ったらまるっきり漫画とか映画によく出てくる「生き残りゲーム」である。
小さな子供を持つ母親の学生で、期末試験が終わると必ず子供が熱を出すといっていた人がいました。
試験中子供にかまってあげられず、子供の側でも親が緊張しているのが分かるのでわがままも言えず、試験が終わると安心して熱を出してしまうとのことだ。
これで司法試験の合格率は25パーセント、4人のうち3人までは不合格、国家資格の数値としては必ずしも低くはないとはいえ、勉強にかけた時間からすればものすごく難しい試験という感覚である。
司法の大改革の一環として2004年に始まったのが法科大学院です。
解答の丸暗記がうまい人間ばかりが合格する旧司法試験の制度を改め、より幅の広い人材を法曹界に呼び込もうという理念を持っていたはずが、高い授業料と低い合格率が学生を苦しめ、”例外的”だったはずの予備試験に受験生が流れることにもなっている。
実際に通ってみて、勉強している内容自体は、細かいところはともかく全体的には決して悪いものだとは思わない。しかし理念に現実の制度がついていっていない、法律家になりたくてもコストとリスクを考えて敬遠させてしまうようなところなのです。