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モノマネって著作権侵害?限度を超えたモノマネは名誉毀損も可能?!

「モノマネ」というのは人の仕草、声色、顔の特徴、メイク等を真似て、あたかもそっくりな人物になりきります。

ビジネスの世界ではコピーは著作権侵害になりますが、モノマネはどうでしょうか?
全てを丸ごとコピーするかのようなモノマネや、その人の一部だけをモノマネ、本人の仕草を誇張しすぎたモノマネなど、その形態は様々です。

今回はモノマネが著作権侵害になるかどうか等について小野智彦弁護士に話を聞いてみました。

モノマネは著作権侵害になるのでしょうか?

モノマネをするには、その対象者が歌っている歌や振付を利用することになります。
そのため、商用でモノマネをする場合には、まずその楽曲の作曲者、作詞者に著作権がありますし、翻案権もありますので、その楽曲を使う場合も、その内容を面白く変更する場合にも、それぞれ許可が必要になります。振り付けについても同様のことが言えます。従って、これらの楽曲や振付を無断で使用したり、内容を変えたりすると、損害賠償請求の対象になります。
他方、本人のモノマネそのものには、著作権はありません。本人が歌唱している映像を流しながらモノマネをしたりすれば、本人の実演権侵害になりますが、そうではなく、仕草や顔真似、声真似をしている限りでは、著作権自体がありませんので、侵害もありません。

面白おかしくするために、誇張しすぎたモノマネはどうでしょうか。

何事も過ぎたるは及ばざるがごとしで、モノマネをされた本人が不快を感じるようであれば、損害賠償請求の対象になり得ます。その基準は、受忍限度を超えたかどうか、ということになろうかと思いますが、第三者がみても「それはやり過ぎだろう。」と思う程度であれば、名誉権侵害ということで不法行為が成立しうると考えます。
なお、日本のビッグタレントの一人で、よくモノマネをされる矢沢永吉さんがいますが、過去に2度裁判沙汰になっています。
ひとつは、モノマネタレントによるCMが流され、それに対して矢沢さんが提訴した案件。もう一つは、矢沢さんがネット上で「俺の名前で商売しやがって」と書いたことに対して、「公認しておいてその言い草はないではないか」とモノマネタレントが逆提訴したという案件。
前者は、本物の著作権を大切にしましょうという共同提言をすることで和解、後者は公認したかどうかは関係がない、ということでモノマネタレントが敗訴。
著作権法的にモノマネ自体が問題ないとしても、商売でモノマネをする場合は、どこかで本人に話をしておいた方がよろしかろうと思います。

取材協力弁護士  小野智彦 Blog Facebook Twitter
東京弁護士会所属。銀座ウィザード法律事務所代表。手品、フルート演奏、手相鑑定、カメラ等と多趣味。手品の種明し訴訟原告代理人、ギミックコイン刑事裁判弁護人、雷句誠氏の漫画原稿の美術的価値を求めて小学館を提訴、等の代理人を務めた。またテレビ出演も多数。