HOME > 法律コラム > あと一点で免停。。。友人がOKしてくれたら身代わりも問題なし?!
千葉県で起こったひき逃げ事件で、11月17日に県警交通捜査課は身代わりで出頭してきた夫を釈放し、妻を逮捕しました。
キッカケとなったのは事故現場のカメラ映像でした。
事故当時に夫婦の子供も同乗しており「子供のことを思って身代わりになった」と供述したようです。
さて今回は交通事故や違反を起こした際に、もしも知人や友人が身代わりになることを同意してくれたら、問題が無いのかどうかを星野宏明弁護士に聞いてみました。
私文書偽造罪が成立するとするのが判例です。
私文書偽造罪とは,文書の作成者と名義人の同一性を偽る行為について成立します。
こういうとわかりにくいですが,要するに,Aさんが,Bさんの許可を得ずに,関手に文書の名義人を「B」と書く行為を罰するものです。
なぜ,私文書偽造が処罰で禁止されるかというと,当該文書を信じた人が,表示された文書の名義人「B」さんに対して責任追及できなくなり,文書に対する社会の信用を害するからです。
このような私文書偽造罪の趣旨からすると,Bさんの同意がある場合には,Aが「B」と表示しても,私文書偽造罪とならないのが原則です。
なぜなら,Bの意思を受けて作成しているので,作成者B,名義人もBとなるからです。
しかしながら,交通違反切符(交通事件原票)は,道交法上,実際に違反した人以外の名義人を予定していません。
つまり,実際に違反した人以外が,身代わりとなって名前を書くことは法によって禁止されています。
そのため,実際には違反していない友人「B」の同意があっても,作成者はあくまで実際に違反したAのままであるのに対し,名義人は表示された「B」となり,作成者と名義人の不一致が残り,文書偽造罪が成立するのです。
同じような理屈で,入学試験で替え玉受験を依頼した場合も,作成者は身代わりA,名義人は受験生Bとなり,(答案用紙について)私文書偽造罪の共犯が成立します。