HOME > 法律コラム > デキる人ならみんな知っている、交渉を優位に進める秘訣をプロである弁護士が伝授!
弁護士といえば交渉を優位に持っていくプロという認識をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
例えば学校でも職場でも家庭でも、また先輩・後輩・上司・恋人・友達・クラスメート・クライアント・下請け先などその立場と関係性においても、ありとあらゆるトラブルがあります。
今回は井上義之弁護士にそんな交渉において気をつけるべきポイントを聞いてみました。
交渉においては、まず初期対応が重要です。
面倒だから忙しいからと後回しにして放置するのは避けるべきです。タイミングを逃して後々後悔しないように、最低限、事案の概要だけでも把握して方針を固め、早めに着手することをお勧めします。
そして、事前準備が重要です。
「相手の出方を見て考えよう」などと、この点をおろそかにする人もいますが、事前準備なしに交渉にのぞむと、いたずらに交渉に時間がかかったり、結果として不満が残ってしまったりするので注意が必要です。準備なしに交渉にのぞむことは避けるべきです。
さらに、交渉で最終的に合意するか否かという段階では、慎重さが肝要となります。関係する事情を十分に検討せずに安易に合意するのは慎むべきです。
以下、交渉に向けてのポイントになる点を説明しておきましょう。
(1)現状把握(強みと弱み、相手との関係、性格等)
自分と相手の強みと弱み(主張の正当性、証拠の有無等)、相手との関係(継続的な関係か1回的な関係か、経済的事情等)などを検討します。
また、人間は感情に左右される生き物ですから、自分と相手の性格(強気か弱気かなど)もある程度踏まえて交渉にのぞむ必要があります。
(2)優先順位(希望)の確認
自分がどんな結果を希望するか、何を優先するのかを考えます。例えば、取引先から売掛金を回収したい場合、時間がかかっても債権全額を回収したいのか、早期解決を優先して一定程度譲歩しても良いのか、譲歩する場合はいくらまで譲歩できるか、といった希望をあらかじめ具体的に検討しておくべきです。希望の内容如何により、交渉においてとるべき方針が変わってきます。特に時間軸を意識しておくとよいでしょう。
上記の検討を踏まえて、解決の方針を選択することになります。
時間がかかっても最大の結果を得たいという希望があり、かつ、そのための強み(証拠等)を備えている場合は、自己の要求を端的に主張していくことになります。相手の話に安易にうなずいたりして、譲歩の期待をもたせることは避けるべきです。相手が任意に応じない場合、早々に交渉を切り上げて裁判を通じて争っていくことも選択肢となります。
これに対して、早期解決を望む場合や自分に弱みがある場合は、解決には原則相手の合意が必要になりますので、落としどころを探る作業になります。合意に向けて、ある意味感情を抑え、勝ち負けという発想は捨てるべきでしょう。相手の状況や性格などを踏まえて、分かりやすく説得する、感情に訴える、自分から譲歩を申し出る等、柔軟に対処することが必要になります。