HOME > 法律コラム > 引越し後、14日以内に住民票を移さないと3000円の過料が発生するのでご注意を!
田舎から上京してきて18年。自分が引っ越しした回数は2回。
1度目は、大学を中退した時。今住んでいる場所に引っ越してきた。
2度目は、今住んでいる同じアパートの3階から1階に引っ越した。
引っ越しも悪くないが、タイミングやら時間的な余裕がない。あと、手続きも面倒。公共料金や会社に届出とか。
その中でも今回は、住民票の手続きに関してのお話です。
少し前に知り合った人が、趣味は引っ越しだと言っていた。
じゃあ、引っ越しの魅力は?と聞くと、環境が変わって新鮮な気持ちになるのだと言う。
へえ?そういうものですかね。
趣味というと、例えばジムに行って運動したり、切手とか何かを収集したり、読書、音楽鑑賞…そういう普通のものを思い浮かべます。
引越しというのは変わった趣味ですね。あ、ちなみに自分の趣味は献血です。
私の1度目の引っ越しの時、3000円の過料となる。
住民票の移動。それはわかっていたのですが、特に誰に何を言われる訳でもないので、問題ないだろうと思い、そのまま放置すること数年。
ある日、現住所の住民票が必要になり、市役所に行くと、職員の方に根堀り葉掘り聞かれる。
「面倒だったので…」
と理由を聞かれた時に話した。その後、裁判所より過料の通知が届くことになるわけですが…。
初めは信じられなくて、新手の詐欺か?などと思い、いろいろ調べていくうち、どうやら本物らしい事がわかり慌てて支払った経験があります。
過料と科料。どちらも「かりょう」と読むのですが、もちろん意味が違ってきます。
科料は刑罰で、犯罪をおかした場合に課せられる財産刑のこと。
財産刑とは、金銭や財物を奪う罰のことで、同じ意味で罰金という罰則もありますが、科料と罰金の違いは、金額の違いだけのようです。
科料は1000円以上1万円未満の比較的軽い罪の時、罰金は1万円以上の財産刑のときに使われる。
それに対して、過料というのは秩序罰であり、行政上、民事上の義務違反や条例、規則違反をしたときに課せられるもの。あと、大きな違いは、科料と罰金は犯罪なので、前科になるのに対し、過料は前科にならない。
2度目の引っ越し…と言っても、同じアパートの3階に住んでいたのを1階に移っただけ。住所も同じだし、アパート名ももちろん同じ。部屋番号だけが変わるのだが、これも役所に届ける必要があるのか?
考えてもわからないので、市役所に行って聞いてみたら、やっぱりこの場合でも届出は必要。知らずにそのまま放置しておいたら、また過料になっていたかもしれない。
住民基本台帳の制度を定めた法律。
引っ越したら14日以内に届出を!という項目もきちんと書かれている(住民基本台帳法第22条)
では、14日以内に届出をしないと必ず罰せられるのか…というと、そうでもないらしい。
たとえば、単身赴任のサラリーマンや学生などの場合。
元の家(学生の場合は実家かな)を離れる期間が1年未満の場合や、週末や季節ごとの休みなど定期的に元の家帰っていて、生活の拠点が元の家(実家)にある場合は住民票を移さなくてもいいらしい。
あとは、住民票を移動できない理由があり、それが認められたら過料とはならないとの事。
この制度は、住民票の交付や住民の居住関係の証明や各種手続きの簡略化の為、また、健康保険や年金、選挙などの事務処理に利用されている。その為、正しい情報での住民登録が必要になる。
つい軽い事だと考えて、住民票くらいいいだろ?と思っていた。一見、小さな規則でもそれが決まった背景には様々な理由があり、どんなに些細な規則も守った方が社会全体、あるいは自分のためになる事が多々ある。法律だからではなく、会社や学校、それぞれの家庭でも守るべきルールは守ったほうがいい。
たとえ、それがどうでもいいように思える小さな事でも。