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1月〜3月にかけて最も多くなる放火。放火罪そのものについて弁護士が解説

平成25年における火災の総出火件数は48028件であると消防庁が発表しました。
その出火原因の第一位は「放火」及び「放火の疑い」となり、その件数は8727件で全体の18%となりました。ちなみに放火が多い都道府県は東京の30.9%、愛知県25.2%、大阪府25.1%という順になっており、大都市を抱える都道府県で高い割合を示しています。
また資料には「月別・曜日別・時間帯別出火数」も公開されており、最も気をつけるべき時期は「1月〜3月の毎週日曜日、午後9時〜10時」となっています。
今回は放火罪について中島宏樹弁護士に話を聞いてみました。

居住用の建物に放火する行為はどのような罪でしょうか。

居住用の建物に放火した場合、現住建造物等放火罪に該当します。
現住建造物等放火罪の法定刑は、死刑、無期、5年以上の懲役です。
現住建造物等放火罪は、建物の効用を失わせ、公共の危険を発生させるのみならず、居住者等の生命を危険にさらすという観点から、殺人罪等同等の法定刑が定められた重罪です。

実際に人が亡くなった場合はどうでしょうか。

放火行為により、現住建造物が「焼損」し、人が亡くなった場合、一個の行為が現住建造物等放火罪と、殺人罪(傷害致死罪、重過失致死罪)に該当することから観念的競合(刑法54条1項前段)となり、最も重い刑である、現住建造物等放火罪の刑が課せられます。

居住用以外の建物の場合はどうでしょうか?

居住用以外の建物に放火した場合、非現住建造物等放火罪に該当します。
非現住建造物等放火罪の法定刑は、2年以上の懲役です。
非現住見物等放火罪は、建物の効用を失わせ公共の危険を発生させるものであるという観点から、重く処罰されています。

自動販売機やゴミ捨て場のゴミなどの建造物以外に放火する場合はどうでしょうか?

建造物以外に放火した場合、建造物等以外放火罪に該当します。
建造物等以外放火罪の法定刑は、1年以上10年以下の懲役です。
建造物等以外放火罪は、公共の危険を発生させるものであるという観点から、重く処罰されています。
なお、広場の真ん中でゴミを燃やした場合など公共の危険を発生させなかった場合には、器物損壊罪に該当します。
寒い季節ですので、くれぐれも火の取り扱いにはご注意ください。

取材協力弁護士  中島宏樹 事務所HP
京都弁護士会所属。京都大学法学部を卒業後、2005年に旧司法試験に合格。その後、法テラス広島法律事務所の初代所長にも就任。現在は弁護士法人京阪藤和法律事務所 京都事務所に所属。相談者に寄り添うことを信条に、冷静と情熱の絶妙なバランスを心掛け、理想の解決に迅速対応します。

ライター  佐藤絵里 Facebook Twitter Twitter