HOME > 法律コラム > 【弁護士が解説】「警察と探偵」は良く聞くけど「弁護士と探偵」ってどんな関係?
本日14日、探偵による隠し撮りが肖像権の侵害に当たると、弁護士が探偵業者を相手に200万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が京都地裁でありました。橋詰均裁判長は請求を一部認め、業者に30万円の支払いを命じました。
「警察と探偵」を取り扱うテレビドラマやアニメはありますが、「弁護士と探偵」となると離婚問題による浮気調査などを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。今回はその「弁護士と探偵の関係性」について寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
探偵については、「探偵業の業務の適正化に関する法律」というものがあり、その第2条の中で、「探偵業務」が定められています。
これによれば、探偵業務とは、「他人の依頼を受けて、特定人の所在または行動についての情報であって当該依頼に係るものを収集することを目的として面接による聞込み、尾行、張込みその他これらに類する方法により実施の調査を行い、その調査の結果を当該依頼者に報告する業務」とされています。
一方で、第6条においては、「探偵業者及び探偵業者の業務に従事する者(以下「探偵業者等」という。)は、探偵業務を行うに当たっては、この法律により他の法令において禁止又は制限されている行為を行うことができることとなるものでなないことに留意するとともに、人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない」と定められています。
つまり、浮気調査など一定の依頼の目的に基づいで、聞込み、尾行、張込み等を行うことは原則として適法ですが、例えば、「情報を提供しなければ、やくざに頼んで海に沈めてもらう」などと聴取相手を脅したり、張込みをするために、他人の住居敷地内に立ち入るなどの犯罪行為を行ったり、家の中を至近距離からのぞき込むような張込みをしてはいけないということができます。
探偵が収集した証拠(多くは調査報告書という形にまとめられますが)は、裁判でも証拠として認められます。
私自身は、浮気調査以外で探偵が収集した証拠を見たことはありませんが、例えば、社員の会社内での犯罪行為(横領等)の証拠を押さえるために探偵に依頼した話を聞いたことがあります。ほかには、行方不明者の所在調査などが考えられるのではないでしょうか。
私の周りには探偵と提携している弁護士は見当たりませんが、離婚事件を多く扱っている弁護士の中には、事実上提携関係にある探偵がいる場合もあるかもしれません。