HOME > 法律コラム > サルでも分かる夫婦別姓問題!認められたら、貴方の日常に訪れる4つの変化とは?!
2015年2月18日に、選択的夫婦別姓が認められないことは憲法違反だという訴訟の審理が、最高裁小法廷から大法廷に移されました。
これが意味するところは、日本の裁判所が「選択的夫婦別姓」に対する態度を変え、合憲か違憲かの新たな憲法判断を下すかもしれないという可能性を有している、という点です。
しかしなぜ今まで選択的夫婦別姓は認められてこなかったのでしょうか。
そこで今回は、最高裁の判断を待つ間に、この夫婦別姓にまつわる疑問を解決すべく、法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にお話を伺いました。
まずは、なぜこれまで裁判所は選択的夫婦別姓を認めなかったのでしょうか。
『そもそも、夫婦別姓を裁判所が認めていなかったという質問が間違いです』(清水陽平弁護士)
『夫婦は同姓を名乗る必要があるということは、民法750条が「夫婦は…夫又は妻の氏を称する」と規定しており,「夫婦」の別姓を認めないというのは、法律の問題だからです。しかし、そもそもその法律が間違っている(憲法に反している)のではないか、という点について最高裁が判断しようとしているということです』(清水陽平弁護士)
『法律を作るのは立法機関である国会であり、国会は国民の多数派の意見を反映したものになります。これまでの社会通念上は、夫婦が同姓であるということについて、それほど疑問が持たれてこなかったのでしょう』(清水陽平弁護士)
『しかし、近年の多様な価値観の下で、別姓を認めるべきだという主張があり、それについて裁判所が取り上げるに至ったというだけの話です(ただし,民法750条が違憲だという判断をするということが決まっているわけでは何らありません)」(清水陽平弁護士)
つまり、日常生活で夫婦別姓を使うことは禁止されておらず、法律に伴う諸処の権利を得るために、夫婦はどちらかの同性を名乗る必要があったということでした。
すると、もし法律上「選択的夫婦別姓」が認められることになれば、これまでの事実婚では得られなかったどのような権利を得ることができるのでしょうか。
『別姓婚が認められるとすれば、事実婚と比べ、法律婚でも別姓を名乗ることができるほか、以下のような権利が認められることになります』(清水陽平弁護士)
■生まれた子の嫡出性が推定されることになる。
■未成年でも,成人したものと扱われることになる。
■配偶者に相続権が発生することになる。
■税金の配偶者控除が使える。
(清水陽平弁護士)
相続権や税金の配偶者控除の問題は、今まで得られなかった歓迎すべき権利だと考えれるでしょう。
選択的夫婦別姓の問題については、実は1996年の法制審議会の段階で、改正の答申が出ていました。
すなわち我々の価値観が変容する中で、夫婦の姓に関する規定は骨董品のようにしまわれていたわけです。
今回の待ちわびられている憲法判断は、我々に新しい法の変化をもたらしてくれるかもしれません。