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法律で夫婦は同姓でなければならないと規定されてるなら、別姓の有名人夫婦は法律違反じゃないの?

2月に最高裁が、「選択的夫婦別姓」に関する訴訟の審理を大法廷に移しました。

夫婦別姓についての問題は、20世紀から現在に至るまで、何度も思い出すかのように再出しています。
法制度の面からも、1996年に法制審議会が民法の夫婦の姓に関する規定を改正するよう答申を出しましたが、一向に進まない状況にあります。
つまり、現代の日本では法律上の、すなわち戸籍として夫婦別姓をとることはできません。
では、有名人夫婦の例はどう説明すべきなのでしょうか。
有名人たちは結婚しても、彼らは姓を変えずにテレビ等に出演しています。
そこで今回は、有名人夫婦の別姓について、法律事務所アルシエンの清水陽平弁護士にお話を伺いました。

夫婦別姓の有名人夫婦は「事実婚」か「通称」

まず有名人など別姓でテレビに出演している夫婦は、なぜ法律上の規定にもかかわらず「別姓」でいられるでしょうか。

「それは、通称として使用しているか、事実婚か、のいずれかです」(清水陽平弁護士)

「民法750条は法律婚において同姓を使用しなければいけないというものですが、それは通称として旧姓を名乗ることを禁じるものではありません。したがって、結婚をしても通称として旧姓をそのまま名乗ることに、何ら問題はないということになります」(清水陽平弁護士)

「また、婚姻の届け出をしない場合にまで民法750条が定めるものではなく、事実婚をすることも自由です。そのため、事実婚に過ぎない場合には、当然そのままの性を名乗ることができます」(清水陽平弁護士)

戸籍上は同性でも芸名として以前の名前で出演することと、事実婚という婚姻形態を紹介していただきました。

別姓だけを求めるなら事実婚でも事足りる。では選択夫婦別姓を訴える真意とは?!

しかし事実婚があるならば、選択的夫婦別姓を訴える方々は、どうして事実婚によらないのでしょうか。この問題は、もし事実婚のような別姓婚が法律上認められた場合に付与される権利について考えることで見えてきます。

「別姓婚が認められるとすれば、事実婚と比べ、法律婚でも別姓を名乗ることができるほか、以下のような権利が認められることになります。
・生まれた子の嫡出性が推定されることになる。
・未成年でも,成人したものと扱われることになる。
・配偶者に相続権が発生することになる。
・税金の配偶者控除が使える」(清水陽平弁護士)

すなわち、今の制度で事実婚のままだと、配偶者がなくなっても、パートナーに遺産などの相続権はありませんし、税金も通常の夫婦より多く払うことになるかもしれません。この他子供の問題など、意外とナイーブな問題が多く出てきました。
自分のアイデンティティーにも関わる姓をめぐる問題について、裁判所がどう判断するか、今後も注目です。

取材協力弁護士  清水陽平 事務所HP
東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン共同代表パートナー。ネット上での誹謗中傷対策や炎上対策として、日本人では初となるTwitterやFacebookへの削除・開示の実績あり。その他に損害賠償、刑事告訴など幅広い案件に対応。また数々のメディアへも掲載多数。

ライター 樹木悠

ガイドブック民事保全の実務(編集)
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