HOME > 法律コラム > 「倒産=企業消滅」ではありません!倒産の様々な手続きを弁護士が解説!夜逃げも倒産??
今年の1月28日に航空会社スカイマークエアラインズが民事再生手続きの開始申立を発表しました。
報道によると、負債総額は710億8800万円にのぼり、その原因は格安航空会社との競争激化や、急激な円安による航空機リース料の負担増、燃料費の高止まりとのこと。
ところで『倒産』とは、一般に、借金を返済できなくなり、営業を続けることが難しくなる状態を言います。スカイマークも同様に、倒産状態となりましたが、倒産の全てが企業消滅というわけではありません。倒産の手続きは多岐にわたり、その中でスカイマークは、民事再生手続を行いました。
さて今回は企業倒産に当たって、代表的な手続きである『破産手続・再生手続・特別清算・任意整理』の概要について、借金問題に詳しい塩澤彰也弁護士に話を聞いてみました。
まずは倒産にはどんな種類で分けられるのでしょうか。
「倒産状態になった企業が、債権者らへの弁済のための処理ないし手続きを行う場合に、私的に整理する場合と、法的に整理する場合があります」(塩澤彰也弁護士)
「また、再建を目指して行う場合と、清算を目的に行う場合があります」(塩澤彰也弁護士)
『法的整理』とは、法律に従って裁判所の指導監督のもと手続きが進められますが、『私的整理』はその逆で、裁判所を通さず、債権者・債務者との話し合いで解決を図ります。
また『再建型』とは、スカイマークが行った民事再生がそれに当ります。企業を存続させつつ、借金を出来る限り減らし、企業の支払能力を高めるという倒産手続です。『清算型』は文字通り、企業の資産を全て清算し、そのお金で債権者に弁済する方法です。
では様々な倒産手続の中で、どれが『法的整理』・『私的整理』、『再建型』・『清算型』に分類されるのでしょうか。
「法的な処理として、民事再生法に基づく再生手続、破産手続、特別清算があります。再生手続が再建型、破産手続及び特別清算が清算型と言えます」(塩澤彰也弁護士)
『裁判所を介さず、法律家が間に入るなどして、債権者らと債務の支払いに関する調整を行う任意整理(私的整理)もあります」(塩澤彰也弁護士)
任意整理は、私的整理であり、再建型と清算型のどちらも行うことが可能です。
では『破産手続・再生手続・特別清算・任意整理』以外で他に何か方法はないのでしょうか。
「先ほどの手続きを取らずに、「放置」されることもあります。いわゆる「夜逃げ」も、その一種です」(塩澤彰也弁護士)
「倒産と言っても、いろいろあり、それぞれ債権者として取るべき行動が変わってくるので、その後どのような手続きが取られているかは、必ず把握しなければなりません」(塩澤彰也弁護士)
実は経営状態が悪くなくても倒産することがあります。それは取引先の倒産に伴う連鎖倒産です。取引先が倒産したことで、売掛金の回収ができないことによって起こります。
ここまで倒産企業としての立場でお話を進めてきましたが、自社の経営だけでなく、取引先の経営状態にも目を光らせておく必要が有ることは言うまでもありません。