法律問題は相談LINEで解決!

HOME > 法律コラム > 「デブは自己管理能力が低い。だからマイナス査定」これってパワハラじゃないの?!

このエントリーをはてなブックマークに追加

「デブは自己管理能力が低い。だからマイナス査定」これってパワハラじゃないの?!

「肥満は自己管理能力が低い」ーーアメリカではよく聞きますが、日本においても、同様の傾向があるようです。

あるアンケートによると「肥満と業務能力は関係があると思うか」に対して、38%が「大いに関係がある」、19%が「やや関係がある」、「業務によって異なる」は33%、 「能力と体重は関係がない」は8%でした(電子税金計算書サービス会社 ビジネスオンコミュニケーション実施 2009年6月 会社員1632人対象)。
つまり「関係がある」と答えた人は全体の57%にも及んだのです。

今回は肥満であることが人事査定に悪影響を及ぼした場合、法的に問題がないのかどうかを星野宏明弁護士に聞いてみました。

評価を下げるだけであれば、違法性はない!

まずは人事評価自体が法律に触れることがあるかどうかを教えて下さい。

「会社内での人事評価自体は、方法が法律で規制されているわけではなく、評価を下げるだけであれば、原則として、違法性の問題はありません」(星野宏明弁護士)

「法的に問題となってくるのは、不当な人事評価を基に、降格や減給、解雇などの措置まで採った場合です」(星野宏明弁護士)

評価が下がること自体に違法性はなく、それによって減給や降格といった具体的な措置をとると問題があると星野宏明弁護士は言います。

喫煙者も、肥満と同様!

では、肥満は自己管理能力が低い、だから減給・降格というのも問題があるということでしょうか。

「自己管理がおろそかというだけでは、降格・減給の理由とはなりません」(星野宏明弁護士)

「降格や、減給をするには、就業規則に従い、勤務態度、稼働能率が著しく悪い、規律違反といった正当な理由が必要であり、何ら理由もなく、労働者の同意もなく、降格・減給をすることはできません」(星野宏明弁護士)

自己管理能力が低いという点で、肥満と同様に喫煙者にも同じ見方がなされていますが、これはどうでしょうか。

「喫煙者であるというだけでは、法律に違反しているわけでもなく、能率が著しく落ちるわけでもありませんから、それだけを理由に人事評価を下げた上で、降格や減給まですると違法となる可能性が出てきます」(星野宏明弁護士)

「他方、禁煙の室内でいくら注意しても無断喫煙するなど、職場の秩序、規律違反を繰り返すような場合には、それを人事評価に反映させた上で、降格・減給の理由となりうるでしょう」(星野宏明弁護士)

異性からのイメージや健康面でも適度な運動を心がけましょう!

肥満であることと、喫煙者であること、それぞれを理由に降格・減給に及んだ場合、一つの違いがあると星野宏明弁護士は言います。

「喫煙者と異なる点は、肥満により、職場秩序・規律違反をすることが有り得ない点です。例えば、「体重何キロ以上になってはいけない」というような就業規則・職場規律はまずないでしょうし、あっても有効性に疑問があります」(星野宏明弁護士)

「したがって、禁煙の場所で繰り返し無断喫煙するといった規律違反はあまり考えられず、喫煙者の場合以上に、人事評価を下げて降格等をすることは難しいと考えられます」(星野宏明弁護士)

冒頭では肥満と業務能力の関係について触れましたが、「女性から見たメタボ男性の印象(男のエステ ダンディハウス「男の肥満」 2007年)」というアンケートでは「フットワークが悪い」(66.5%)、「怠慢」(43.1%)などのネガティブなイメージが大半を占めていることも発表されています。
肥満であることで、降格・減給はないようですが、やはり健康面や異性からのイメージで考えてもメリットは多くないようです。

取材協力弁護士  星野宏明 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所 共同代表。千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学法学部を大学院飛び級のため退学。その後慶応義塾大学大学院法務研究科を修了。北京大学へ語学留学し、中国広州市にある敬海法律事務所にて実務研修。弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業。一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門。中国語による業務も対応可能。

ライター 大田タケル Twitter Blog