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弁護士にも依頼者を選ぶ権利はある!断るのはどんなケースか聞いてみた!

対比されることが多い弁護士と医師。
例えば、ある弁護士のホームページを見ると「町医者のような弁護士を目指しています」というようなことが書かれているが、これは決して珍しいことではない。もし良ければ「弁護士 町医者」と検索していただければ、そのヒット数に驚かれるだろう。
では何故、弁護士と医師が比較されるのか。
それは、健康問題も法的トラブルも未然に対応することが重要だからである。しかし弁護士は、医師とは違って、依頼者を選ぶ権利がある。つまり法律相談に来られた方に対して、実際に受けるかどうかを決める権利を持っているということだ。
ではどんな理由で断るのか、ズバリ本音を聞いてみた。協力して頂いたのは星野法律事務所代表の星野宏明弁護士です。

非道徳的な相談は受けられない!

「医師には診療義務があり、病院にきた患者さんの診療を拒否できませんが、弁護士には、相談にきた依頼者の法律相談・事件依頼を受任する義務はありません。したがって、実際には、様々な理由で、依頼を断ることも多いです」(星野宏明弁護士)

こう切り出した星野宏明弁護士。では例えば、弁護士個人の道徳観や価値観からみて、その相談内容が非道徳的だと感じ、それを理由にして、断ることがあるのだろうか。

「結論からいえば、そもそも『非道徳的』だと感じる相談はほとんどなく、『非道徳的』であることを理由に断ることは滅多にありません」(星野宏明弁護士)

「ただし、実際に『非道徳的』な請求を内容とする相談がきた場合は、やはり断らざるを得ないことになります。なぜなら、弁護士の職務規程では、弁護士の品位を汚す行為を懲戒の対象としており、『非道徳的』な請求であることが明白な場合には、それに加担することはできないからです」(星野宏明弁護士)

その他、依頼を断る5つのケースとは?

なるほど。そもそも非道徳的な相談は殆どなく、仮にあったとしてもそれに加担することが職務規定で禁止されている為、受けることは出来ないと、星野宏明弁護士は言う。では、単刀直入に、弁護したくないと思うときはどんな時なのだろうか。

「請求内容が非道徳的であることを理由に断ることは滅多にないといいましたが、それ以外の理由で受任を断ることは多々あります」(星野宏明弁護士)

「一番多いのは(1)報酬が支払えない、(2)勝ち目が全くない、(3)費用倒れに終わる、(4)弁護士が示した法的処理方針に賛同できない、(5)コミュニケーションが取りづらい(平たくいえば相性が悪い)といった理由です」(星野宏明弁護士)

これは是非参考にしていただきたい。相談者が弁護士を選ぶ権利があるのと同様、弁護士にもその権利が与えられており、折角信用できそうな弁護士が見つかったとしても、これらの理由によって断られてしまうことがあるからだ。

ちなみに『(1)報酬が支払えない』に関しては、『民事法律扶助制度』を用いることが可能である。これは、所得が一定基準以下の方には、無料で法律相談を行い、弁護士費用の立て替えを行うという制度である。

何かの法的トラブルに直面した時には是非、これらを意識して相談に行かれることをオススメしたい。

取材協力弁護士  星野宏明 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所 共同代表。千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学法学部を大学院飛び級のため退学。その後慶応義塾大学大学院法務研究科を修了。北京大学へ語学留学し、中国広州市にある敬海法律事務所にて実務研修。弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業。一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門。中国語による業務も対応可能。

ライター 石川信男