HOME > 法律コラム > データで勤怠管理をしている会社で、労働時間を改ざんされたらどうすればいい?
近年、社会問題化しているブラック企業問題。
これに対して厚生労働省は、全国の労働局に、5月18日から社名を公表すると発表した。対象となるのは残業が月100時間を超え、違法な長時間労働を繰り返す、比較的規模が大きい企業であるとのこと。
塩崎厚生労働相は「労働局長自らが、企業の経営トップに対して、全社的な早期是正について指揮・指導をするとともに、その事実を公表することとした」と発表した。
さて今回は、人件費を減らそうとするブラック企業が、労働者に無断で残業時間を改ざんしようとした場合にどんな罰則があるのか、また勤怠をデータで管理されていた場合、労働者としてはこのような事態にどう対策するべきかを鈴木翔太弁護士に伺った。
「労働時間をタイムカードやパソコンのログ時間を使ってデータ管理しているにも関わらず改ざんされてしまう場合、自ら実質的な労働時間を証明する証拠を集めておくべきでしょう」(鈴木翔太弁護士)
まずはこう述べた鈴木翔太弁護士。しかし具体的にはどのような方法があるのだろうか。
「例えば、毎日始業・終業時間や一日の業務の流れをメモしたり、時間外にメールを送信した場合にはそれをBCCで自宅のパソコンに送ったり、それを印刷して送信日時を手元に残したり、ファイルの更新時間を印刷したり、時間外の職場での会話を録音したりすることも考えうるでしょう」(鈴木翔太弁護士)
鈴木翔太弁護士は、時間外の勤務で生じた業務の全てを、逐一保存することが重要と言う。中でもファイルの更新時間を記録することや、時間外勤務中の会話を録音するなどは、あまり聞き慣れない方法なだけに、証拠を一つでも増やしたいと考えている人にとっては嬉しい情報だろう。
中々改善されないブラック企業問題の根本には、違法行為が突発的に行われるというより、慢性的に行われていると考えるのが妥当である。こうなると、従業員たった一人で会社に対して行動を起こしたとしても、本当の意味での解決にはならない。実際に鈴木翔太弁護士もこのように話している。
「毎日継続的に証拠を残し続けること、従業員同士一致団結して味方を増やし問題解決に取り組むこと、確実な証拠と大人数による信憑性をもって経営陣が対策を取らざるをえない状況を作ることが望ましいでしょう」(鈴木翔太弁護士)
「ひとりで抱え込まないことが何よりも重要です」(鈴木翔太弁護士)
労働基準法では、時間外や休日・深夜労働について、割増賃金の支払を義務付けている。つまり労働時間を改ざんし賃金を支払わないことは立派な法律違反となり、6ヵ月以下の懲役または30万円以下の罰金という、刑事罰の対象にもなっている。
もしもこのような悩みを持っている方は、労働基準監督署や最寄りの弁護士にまずは相談することをオススメしたい。