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【弁護士が解説】風俗店での盗撮がバレて罰金100万円!これって払わないとダメ?!

「盗撮は罰金100万って書いてあるの知ってるよね?払わないなら家族や会社に連絡して、どこまででも取り立てるぞ」ーー風俗店での盗撮が禁止されているのはご存知だろう。しかしばれないだろうと思った一部の客が盗撮を行い、それがバレて、風俗店から法外な罰金を請求されることがある。

大手のQ&Aサイトでもこの手の相談は多く書き込まれている。
「警察に相談することをオススメします」や「盗撮は性犯罪、最低」という回答が寄せられる中で、実際に風俗店で働く女性からは「逆に自分が盗撮されたらどう思いますか?自業自得です」と言った声もあり、様々な議論を呼んでいる。

さて今回は風俗店での盗撮がバレて、お店から罰金を請求された場合、払わないとダメなのかどうかを星野宏明弁護士に伺った。

罰金とは国家だけが課すことの許された刑罰。私人による罰金は認められない。

「無断駐車違反でもよく『罰金3万円』といった警告を見かけますが、そもそも、俗にいう『罰金』は、正確な概念ではありません。罰金は、国家だけが課すことのできる刑罰であり、私人が勝手に罰金を設定することはできません」(星野宏明弁護士)

こう切り出した星野宏明弁護士。では風俗店がルールとして禁止している盗撮による罰金はどのように解釈するのだろうか。

「盗撮行為により店舗もしくは店員が迷惑を被ったとして請求する『罰金』は、法的には正確には不法行為に基づく損害賠償請求権です。もう少し具体的にいうと、損害額であり、慰謝料をイメージするとわかりやすいでしょう。これは、あくまで民事上の不法行為に基づく損害賠償であって、『罰金』ではありません」(星野宏明弁護士)

裁判で有罪になり、罰金を課されない限り払う必要はない

不法行為とは簡単にいうと、他者に損害を与える行為である。そして不法行為には、法律上、その被害者に発生した損害に対して賠償する義務が課される。

「したがって、裁判所から有罪判決を受けて罰金を課されない限り、『罰金』は払う必要がありませんが、盗撮行為が店舗や店員に対する不法行為と認定できる場合には、損害を賠償する必要があります」(星野宏明弁護士)

このような話になると、裁判で有罪にならない限り払う必要がないと思う方もいるかもしれない。しかしそもそも盗撮自体が罪になることをも付け加えておきたい。

そもそも盗撮自体が罪であることを忘れてはいけません!

「盗撮行為については、一般に各都道府県の迷惑防止条例で禁止されています。迷惑防止条例で禁止する盗撮行為は、基本的に電車内などの『公共の場所』という限定がついていることが多いので、その場合は、店舗内での盗撮行為は迷惑防止条例違反とはなりません。ただ、都道府県によっては、公共の場所の要件が緩和されていることもあり、住んでいる地域によっては、盗撮行為が迷惑防止条例違反の罪に問われる可能性もあります」(星野宏明弁護士)

「この他、『正当な理由がなく人の住居、浴場、更衣場、便所、その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者』を罰する軽犯罪法違反となるケースもありえます」(星野宏明弁護士)

「さらに、盗撮した画像をネット上などで拡散した場合、刑法上の名誉棄損罪となります」(星野宏明弁護士)

東京都の盗撮による迷惑防止条例違反は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金となっている。軽犯罪法違反は、拘留又は科料が課される可能性がある。名誉棄損罪は3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金である。

今やスマホでいつでもどこでも簡単に写真を取ることが出来る。しかしその行為が盗撮となる可能性があることや、そもそも盗撮自体が立派な犯罪であることを忘れてはならない。

取材協力弁護士  星野宏明 事務所HP
東京弁護士会所属。星野法律事務所 共同代表。千葉県立東葛飾高校を卒業。早稲田大学法学部を大学院飛び級のため退学。その後慶応義塾大学大学院法務研究科を修了。北京大学へ語学留学し、中国広州市にある敬海法律事務所にて実務研修。弁護士法人淀屋橋・山上合同 勤務を経て独立開業。一般企業法務,顧問業務,中国法務,不貞による慰謝料請求,外国人の離婚事件,国際案件,中小企業の法律相談,ペット訴訟等が専門。中国語による業務も対応可能。

photo by David M