HOME > 法律コラム > 信じられないほど不味い嫁の料理…もう耐えられない。こんな理由でも離婚は可能?!
お互いが同意しているならば問題はないが、一方が離婚を希望、他方が反対し、離婚裁判となった場合、正式に離婚が認められるためには、民法で定められた以下のいずれかの理由が必要である。
(1)不貞行為
(2)悪意の遺棄
(3)3年以上の生死不明
(4)回復の見込みのない強度の精神病
(5)婚姻を継続しがたい重大な事由
そこで今回は、妻が作る料理が美味しくないという理由も離婚理由になりえるかどうかを小野智彦弁護士に伺ってみた。
上述した(1)〜(5)の中で、料理が美味しくないということを離婚理由にする場合、該当する可能性が唯一あるのは(5)だろうと思われるが、まずは結論として、そもそも離婚が可能かどうかを伺ってみよう。
「ご飯が不味いかどうかは、通常結婚前に作ってもらうことで判断でき、不味くてもその人のことが好きだからということで、結婚に踏み切ったはずです。従って、基本的には離婚理由にはならないでしょう」(小野智彦弁護士)
確かに、結婚前から食べていた可能性が高く、それを知った上で結婚したと考えるのが妥当だろう。美味しくないことをわかった上で結婚したにも関わらず、やっぱりもう耐えられないから離婚したいと主張しても筋が通らないだろう。
可能性としては低いが、もしも結婚前に妻の手料理を食べることが出来ず、美味しいかどうかの判断ができなかった場合はどうなるのだろうか。
「結婚前に一度も作ってもらっていない、あるいは、いつも美味しい食事を出してくれたのだが、実は義母が作っていた等の場合はどうでしょうか?」(小野智彦弁護士)
「これも難しいでしょうね。結婚してから、『こんなはずではなかった。。。』と思うことは多々あることで、それをいちいち離婚理由にしていたらキリがありません」(小野智彦弁護士)
夫の視点で話を進めてきたが、こんなはずではなかったというのは、当然妻も思っていることであり、お互い様ということだろうか。
「ご飯が不味いことによって、夫婦喧嘩が絶えなくなり、夫婦関係が悪化し、破綻したというような流れを辿って、初めて離婚することができるようになるかと思います」(小野智彦弁護士)
最後に興味深いことに触れてくれた小野智彦弁護士。つまり妻に、料理が不味いことを執拗に攻め続け、その結果、婚姻関係の継続が難しいとなった場合は離婚も有り得るということである。
「夫婦円満の秘訣は我慢」とは良く言ったものである。