HOME > 法律コラム > 【自殺者を出す前に】就職失敗で借金地獄、就職できても生活苦!奨学金の問題点を弁護士が解説!
奨学金を返済できずに苦しんでいる人が増えている。日本学生支援機構によると、2013年度の滞納者は33万人おり、その総額は876億円にのぼると発表した。
この問題点は主に4つである。
(1)値上がりした学費と不安定な家計によって、奨学金に頼らざるをえないこと
(2)不安定な雇用や、低賃金労働により、返したくても返せないこと
(3)厳しい取り立て
(4)本人が返せない場合、保証人となっている親などに返済義務が発生
今回はこの問題について、借金問題に強い塩澤彰也弁護士に話を伺った。
奨学金を返済できずに破産してしまう方が増えており、ニュースにもなっているが、これは奨学金と名前を変えているだけで、実質、借金や学生ローンと考えていいのだろうか。
「奨学金の中には、貸与でなく、贈与のケースもありますが、貸与の場合は、借金と同じと考えてよいです」(塩澤彰也弁護士)
「違いは、一定の職に就いた場合には、その借金を返さなくてよいなどの特約が付いているケースがあること、保証人が要求されるケースが多いことがあるかと思います」(塩澤彰也弁護士)
貸与制の奨学金は、借金である、と断言した塩澤彰也弁護士。
借金をするということは、当然返済能力と返済計画が伴っていなければならない。つまり車や家を買うのとなんら変わらないのである。もしも奨学金で大学進学を検討しているならば、慎重に検討する必要があるのではないだろうか。
「もちろんそうです。利息が低い、利息がない、などであっても、将来の毎月の返済額をよく考えて、慎重に検討する必要があります」(塩澤彰也弁護士)
ちなみに奨学金で破産したとしても、結局保証人に返済義務が発生する。もしも家族の誰かが保証人となっていた場合、それでも返済できないとなると、本人同様に保証人も自己破産となるのだろうか。
「父親が保証人になって、その父親も払えない場合には、父親も破産する、ということが考えられます」(塩澤彰也弁護士)
奨学金が返せなくなった時の救済はまだまだ不十分とされているが、破産以外で何かあるのだろうか。
「奨学金の場合は、法律家などに依頼しなくても、普通の借金の場合以上に(普通の借金の場合、法律家が入らないと減額してくれないケースが結構ある)、毎月の返済額を減らす要望などに応じるケースがあるようです」(塩澤彰也弁護士)
ちなみに2014年版の自殺対策白書によると、2013年の総自殺者数は27283人とのこと。この数は、交通事故で亡くなった方(4373人)の約6倍に相当する。単純計算ではあるが、1日に75人、1時間に3人、20分に1人が自殺しているのだ。また15歳から39歳までの死因トップが自殺であることと、全ての自殺の動機原因の2位が貧困問題であることも注目すべきだろう。
先日話題となった「奨学金破産」。自殺大国日本においては「奨学金自殺」というニュースにまで発展する可能性も否定出来ないだろう。何故なら、これだけ多くの人が、毎日自ら命を絶っており、その中に奨学金による貧困を理由にした自殺者がいたとしても、決しておかしい話ではないからだ。現実化しないよう、今まで以上に社会をあげた取組みが求められる。