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国税「タワーマンション購入で節税はダメ」ーーこの事例から学ぶ正しい節税対策とは?

前回、タワーマンションの購入が相続税の節税に効果的である、と解説しましたが、この節税が国税に否認された事例があります。この事例においては、被相続人がお亡くなりになる一月前にタワーマンションを買い、相続税の申告をした後、即相続人がそのタワーマンションを売却したことが問題視されたものです。

相続税の申告期限は、被相続人の死亡の日から10ヶ月とされているところ、購入した翌年にすぐ売却しているため、相続税の節税を目的としていることは明白である、とされたのです。なお、購入価額とほぼ同等で売却できたこともあり、この事例においては、節税効果を全く認めず、現金で財産を遺した場合と同じように、タワーマンションの購入価額で相続税を計算すべき、とされています。

露骨な節税は許さない!という国税

本コラムでも指摘しているところですが、露骨な節税に対しては、国税はそれを否認することが多々あります。このため、露骨な節税をすると痛い目にあう、というのが私たち税理士の共通理解なのですが、それでも未だに露骨な節税は散見されるところです。

このあたり、税に詳しくないにもかかわらず、手数料収入を目的に、問題がないと安易な提案をする悪質な業者も多いところですから、注意する必要があります。

困ったことに、このあたりの事情を詳しく知っているはずの税理士であっても、勉強が足りなかったり、業者からのバックリベートを目的としたりして、安易な節税提案を行ってクライアントに迷惑をかける者も見られるところです。

もしも節税をするなら?

露骨な節税が問題視されることからも分かるとおり、節税をやる場合には露骨と見られないよう、きちんと理由付けを行うことはもちろん、余裕を持ってスキームを実行する必要があります。

本事例においては、死亡の一月前に購入するのではなく、もっと早いうちから購入したり、売却についても、相続税の申告後すぐに行うのではなく、少なくとも税務調査が終わるまで、何年か保有してから売却したりする必要があった、と解されます。

少し脱線しますが、時間をかけて余裕を持って対策を行えば、相続税対策はそれほど難しいものではないといわれますので、早いうちに専門家に相談しましょう。時間があれば、資質のある専門家を探すことも十分に可能になりますから、悪質な業者や税理士にだまされることもありません。

執筆  松嶋洋 WEBサイト
平成14年東京大学を卒業後、国民生活金融公庫を経て東京国税局に入局。国税調査官として、法人税調査・審理事務を担当。国税局を退官後、経団連関連の税制研究所において、法人税制を中心とするあるべき税制の立案と解釈研究に従事。現在は、税務調査対策及び高度税務に関するコンサルティング業務に従事するとともに、税理士向けに税務調査・法令解釈のノウハウにつき講演執筆活動を行う。

photo by eFile989

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