HOME > 法律コラム > 遺産分割協議書を自作する場合の3つのポイントを相続に強い弁護士が解説!
国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口(全国)」によると、2015年7月1日時点の日本の総人口1億2695万人が、2060年には8674万になるとのこと。単純計算で4000万人がお亡くなりになるということである。
勿論、誰にでも「死」は訪れるものである。しかし、これから先の日本においては、「死」に触れる機会が、あなたの周囲で増えていくことは間違いなく、それとともにセットで考えなければならないのが「相続」である。
相続は遺産があってもなくても基本的に発生するものであるが、もしも専門家に頼ること無く、自分でできることは自分でやろうとした場合に、是非参考にして欲しいのが今回のコラムである。今回は相続問題に強い今西隆彦弁護士に遺産分割協議書の作り方や注意事項を伺った。
まずは遺産分割協議書の作り方や注意事項を伺う前に、そもそも遺産分割協議書とはどんなものなのかを伺ってみた。
「ある人が亡くなり(この人のことを法律上、被相続人といいます。)、その相続人が複数いる場合、相続人の間で、残された財産(遺産)をどのように配分するかを話し合って決める(例えば、先祖代々の家は長男が継ぐ。その代わり預貯金は長男を除く相続人が分割して取得する等)ことを、遺産分割協議といい、遺産分割協議書とは、その遺産分割協議の結果を書面にしたもののことをいいます」(今西隆彦弁護士)
誰にどれだけ相続するのか決めることを遺産分割協議と言い、その決めたことを書面にしたものを遺産分割協議書と理解すればいいようだ。
では、本題である遺産分割協議書の作成に当たって、注意することを伺ってみた。
「まず、相続人が誰なのかをきちんと把握する必要があります。でないと、あとで相続人となるべきはずだった人が現れて、遺産分割をやり直す羽目にもなりかねず、せっかくの遺産分割協議が無駄になってしまいます」(今西隆彦弁護士)
これは非常に重要なことであると同時に、見落としがちなポイントではないだろうか。折角話し合っても、全てが水の泡になってしまうのだ。
となると、相続人だけじゃなく、そもそも相続される財産がどれだけあるのか、ということもしっかり把握する必要があるということだろうか。
「遺産も主要なものについては把握をする努力をしなければなりません。遺産分割協議を行なう場合は、決まり文句として、あとで財産が出てきた場合について、『相続人 ◯◯が取得する』という条項を入れることがあるのですが、あとで出てきた財産が莫大な財産であるという場合に、その条項をそのまま適用する結果になれば、取得者対非取得者の間で、新たな火種が産まれてしまい、家族間に紛争がもたらされることも考えられなくはありません」(今西隆彦弁護士)
基本的なことではあるが、「相続人と遺産の正確な把握」が欠けてしまうと、後々大変なことになると具体的なイメージを持って理解して頂けたのではないだろうか。
「最後に、これは法律とはあまり関係ない話かも知れませんが、遺産分割協議にあたっては、被相続人の面倒を見た人などの苦労は、その人からきちんと言い分を聞いて、その言い分を考慮した分割になるよう心掛けると、家族間にわだかまりを残さない結果に繋がりやすいでしょう」(今西隆彦弁護士)
相続トラブルは遺産の多寡ではないと聞いたことがある人もいるだろう。これはつまり、相続人間の遺産分割の比率によるところが大きいという意味かもしれない。「どうして私だけ少ないのか」、「晩年の面倒をみてきたのは私だ」など。
今までの話は遺言書が無い状態での相続を想定しているが、こういったことを避けるための方法は、やはり遺言書作成であることを最後に忘れないで頂きたい。