HOME > 法律コラム > 倒れて苦しんでいる人を発見!無視したり、救急車を呼ばなかったら何かの罪に問われる?
連日の真夏日と熱帯夜。地震や台風のような目に見える被害はないが、被害者は決して少なくない。特に注意が必要なのは熱中症だろう。
熱中症には様々な症状があり、めまいやふらつきは初期症状の代表である。しかし酷い場合には、熱でもうろうとして、突然意識を失い、死に至ることすらある。
総務省消防庁によると、8月3日〜9日の間で熱中症で搬送された人は11219人となり、死亡者が過去最高の32人であったと発表した。
今回はそんな熱中症等で、倒れて苦しんでいる人を見かけた際に、救急車を呼ばないことが何かの罪に問われるのかを木川雅博弁護士に伺った。
もしも熱中症等で、倒れている人を見かけ、救急車等を呼ばずになくなった場合、その人には何かの責任が生じるのだろうか。
「倒れている人に反応や自発呼吸がないときなど、緊急性がある状態で救急車を呼ばなかった場合には、その人との関係性によっては保護責任者遺棄(不保護)罪が成立する可能性があります」(木川雅博弁護士)
「たとえば、加害者や同居の親族など、その人を保護する責任があると認められる人が救急車を呼ばなかったときは保護責任者遺棄(不保護)罪に問われることになります」(木川雅博弁護士)
一般的に保護責任者となりえるのは、親権者・扶養義務者、交通事故の加害者、被保護者と契約している保育士、雇用主などである。
では保護責任者でない場合はどうなるのだろうか。
「他方、通行人が倒れている人を見かけたときなど、道義的に保護したほうがよいときに過ぎない場合はその人を保護する法的な責任が認められないので、保護責任者遺棄(不保護)罪は成立しません」(木川雅博弁護士)
たまたま倒れている人を見かけ、仮に救急車を呼ばずに立ち去ったとしても責任は問われないようだ。では、立ち去らずに救助をしようとした場合はどうだろうか。
「通行人がいったん要救助者を車に乗せて病院まで運ぼうとしたけれどもやっぱり面倒になってその辺に放置した場合には単純遺棄罪や保護責任者遺棄罪に問われることもありますので、ひとたび救助を引き受けたときには救急車を呼んだり病院に運んだりなど、最後まで責任をもってしかるべき人に引き渡すことが必要です」(木川雅博弁護士)
ちなみに保護責任者遺棄罪・不保護罪の法定刑は3月以上5年以下の懲役となっている。
街で、もしも倒れている人を見かけたら、あなたならどうしますか。