HOME > 法律コラム > 自転車と車やバイクによる交通事故では、自転車の方が罪が軽いイメージだけど本当はどうなの?
自転車を運転中に人を轢いて怪我をさせた場合、車やバイクよりも、罪が軽いというイメージがあるのでないだろうか。
では、もしも被害者の怪我の具合に大した差がなかった場合でも、自転車と車・バイクでは罪の重さに違いが出るのだろうか。
また対人事故を起こした場合、自転車と車・バイクのどちらであっても、民事責任として損害賠償の責任が生じるが、それぞれで賠償額に違いはあるのだろうか。
今回はこの問題について、加塚裕師弁護士に話を伺った。
人を轢いて怪我をさせた場合、加害者が自転車か車・バイクかの違いで罪の重さは変わるのだろうか。
「まず刑事責任の面から言うと、自転車の運転により人に怪我をさせた場合、重過失致傷罪が成立する場合があり、その法定刑は5年以下の懲役若しくは禁固または100万円以下の罰金とされています」(加塚裕師弁護士)
「自動車やバイクの場合には、自動車運転過失傷害罪が成立する場合があり、その法定刑は7年以下の懲役若しくは禁固または100万円以下の罰金とされており、後者の方が法定刑は重くなっています」(加塚裕師弁護士)
日常的に自転車や車・バイクに乗る方ならば、自転車か車・バイクかの違いで、これほど罪の重さに違いがあることを覚えておいて損はないだろう。
では次に民事上の責任として、損害賠償額に影響があるかどうかを伺った。
「民事責任としての損害賠償の金額については、基本的に被害者の負傷の程度によって左右されます」(加塚裕師弁護士)
これはつまり、加害者が自転車なのか、あるいは車・バイクなのかは、損害賠償額に関係ないということだろうか。
「この点、自転車は一般的に軽量かつ低速という特徴があるため、被害者の負傷の程度は自動車・バイクの事故に比べ軽い場合が多いと思われますが、自転車事故でも被害者が死傷する事例もあり、その場合には高額の損害賠償責任が発生するため注意が必要です」(加塚裕師弁護士)
加塚裕師弁護士の言うように、自転車でも死亡事故になるケースがある。
6月に千葉市稲毛区で、イヤフォンで音楽を聴きながら自転車を運転していた男子学生が、横断歩道を渡っていた77歳の女性をはねて死亡させた事件があった。スポーツタイプの自転車に乗って、時速25キロ程で走行していたという。男子大学生は「イヤホンをして下を向いて運転していた」と供述したが、その男子大学生は8月6日、重過失致死の疑いで書類送検された。
自転車の交通事故が増えたことを背景に6月から道路交通法が改正されたが、まだ始まったばかりであり、今後更に周知していくことが重要だろう。