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スマホを無断で見たらプライバシーの侵害!じゃあ冷蔵庫を勝手に見たら?!

こんな人は自分の家に呼びたくない!というランキングがあったならば、あなたならどんな行為を思い浮かべるだろうか。

分かりやすい例として「勝手に本棚を見る」や「クローゼットを無断で物色」だろう。またその他に「部屋をあちこちチェックする」、「パソコンの履歴を見る」、「食べ物をこぼす」、「タバコを吸う」なども、きっといい顔はされないだろう。

しかし、これまで述べてきた幾つかの行為よりも圧倒的な一位となる可能性を秘めているのは「冷蔵庫を勝手に見る」ではないだろうか。
これは計り知れない破壊力を備えており、あっという間に積み重ねてきた信頼関係をたちまち崩壊してしまうかもしれない。。。

さて今回は、そんな行為がプライバシーの侵害となり得るかどうかを桐生貴央弁護士に寄稿して頂いた。

軽犯罪法違反である覗きは、通常衣服をつけないでいるところを覗いた場合の取締規定!

冷蔵庫、机、クローゼット。モノがないときは覗かれても何とも思わないのに、モノを置いた途端、覗かれるのが恥ずかしくなる。
こうした場所は家の中を見渡せば、所々目に付くもの。こうした秘密にしておきたい場所を他人が勝手に見た場合、どのような責任を負うのでしょうか?

まず、冷蔵庫の中にあるモノやクローゼットの中のモノを家人に無断で勝手に盗った場合には窃盗となります。
それでは、モノを盗らずに、単に覗いただけの場合は犯罪となるのでしょうか?
犯罪となる場合には、法律又は条例で、家人に無断で勝手に覗き見をしたら犯罪になりますよという罰則が定められていなければなりません。

そこで、覗き見について調べてみると、軽犯罪法という法律が出てきます。
しかし、この軽犯罪法、耳にタコという言葉を残して捕まった方もいましたが、覗きは覗きでも、風呂を覗くとか、トイレを覗くとか、「人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者」に対する取締規定なので、冷蔵庫の中や、クローゼットの中など、裸の人がいない場所の覗きは軽犯罪法の対象にはなりません。
したがって、これらの中を家人に無断で勝手に覗いたとしても犯罪にはなりません。

冷蔵庫の中身もプライバシー権として法的保護の対象となるが…

それでは、恥ずかしい思いをしたということで慰謝料を請求することは出来ないでしょうか?
いわゆる私生活上の事柄をみだりに公開されたくないという感情はプライバシー権として法的保護の対象となります。
したがって、冷蔵庫の中を無断で人に見られたくないという感情はスカートの中を見られたくないという感情と同じように、法的保護の対象にあたる可能性があります。
したがって、慰謝料が認められる可能性がでてきます。

但し、スカートの中と冷蔵庫の中とでは恥ずかしさの度合いも違いますので、認められたとしても雀の涙程度ではないかと思います。
すなわち、風潮として、冷蔵庫見たくらいで目くじら立てるなよ、というのが多くの方の国民感情なのではないかと思いますので、実際に裁判をしたところで、裁判官にかわいそうだと思って貰えるような精神的なショックを受けたという事を立証するのは相当難しいと思います。

執筆  桐生 貴央 事務所HP
横浜弁護士会所属。広尾総合法律事務所代表。契約締結交渉、労働問題、債権回収、倒産処理、事業再生、事業承継、不動産明渡請求等の企業法務、遺言・相続、成年後見、交通事故、その他一般民事事件全般、刑事事件などを幅広く対応。また数々のメディアへの実績や著書もあり。

ライター 大田タケル Twitter Blog (photo by Christopher

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