HOME > 法律コラム > 「ただ見ただけ」でも、もしかしたら相手にとっては視姦?!これってセクハラなの?
「脚ジロジロ見るのやめてよ」
「じゃあ職場にそんな短いスカート履いてくるなよ」
「あなたに見せるために履いてるんじゃないの!」
現代社会で誰もが一度は耳にする上記のやりとりですが、どちらにも言い分はありますよね。
異性の魅力的な部分が露わになっていたら、本能でついそこに一瞬視線が走ってしまうのは仕方のないことかもしれませんが、中には遠慮なく凝視するツワモノも少なからず存在します。
中年男性のそういった行動が一般的には有名ですが、異性をいやらしい目で見る行為は「視姦」とも呼ばれます。
では、この視姦はセクハラにあたらないのでしょうか?それとも見るだけなら罪に当たらない?
寺林智栄弁護士に話を聞いてみました。
まず、セクハラ・パワハラ自体は、即犯罪になりません。
脅迫や実際のわいせつ行為が伴う場合に初めて該当する可能性が出てくるにすぎませんので、この点を理解していただきたいと思います。
「いやらしい目」で見ることも、性的な嫌がらせには該当しますので、セクハラに該当する可能性はあります。
ただ、実際にこれを主張して慰謝料を請求することは難しいでしょう。
「いやらしい目つき」かどうかは、主観的な判断になってしまうからです。相手に「そんな目で見ていない」と言われてしまえば、それ以上に主張することはできません。
銭湯は男湯と女湯が分かれており、客はそれぞれ入浴中の姿を異性に見られることはないという前提で裸体になっています。
男女の入浴場所を分けることによって、「のぞき禁止」という暗黙の合意ができていると考えられます。
ですから、のぞきは、合意違反ということになり、慰謝料請求の対象などになるのです。
これに対して、ミニスカートのケースは、その姿で履いている女性は巷を歩いているわけですから、他者に見られることを受け入れているといえます。ですから、凝視しても違法にはなりません。
一定の卑猥な言葉を伴う場合には、セクハラに該当するとして、損害賠償請求の対象になると思われます。
また、職場などでこのような行為が行われると、場合によっては配置転換などされる可能性もあります
(会社などは、セクハラの対応を女子社員に糾弾されることを恐れて、違法と言えないケースでも敏感に反応するケースがあるようです)。