HOME > 法律コラム > 社長「今が正念場だ!積極的な残業・休日出勤を頼む」拒否したらどうなる?
TBS系ドラマ「下町ロケット」が好調だ。
第3話では、今クールドラマの中でも最高となる18.6%を取得した。
このペースが維持できれば、なんと終盤には30%超えも有り得ると期待されている。
しかしその一方でネット上には「佃製作所はブラック企業じゃないか」という反応が一部見受けられる。
でも、佃製作所の徹夜を美化する風潮は問題だと思うんですよ。管理職は社員返さないと。銀行よりブラックじゃないかと。#下町ロケット
— 一二三 (@nunonofuku123) 2015, 11月 8
いい話っぽい感じで締めたけど、深夜残業どころか社員全員会社で夜を明かしてそのまま翌日業務とかめっちゃブラックなんですが…もうちょっと違う手法で演出できない物か… #下町ロケット
— かがみ源譲 (@kagamiP) 2015, 11月 8
下町ロケット、見方を変えれば残業半端ないブラック企業なんだけど…。これが現実でも通用すると思わないほうがいいですよ経営者の方々。
— mikazuki (@kunobon) 2015, 11月 8
労働基準法では労働時間・休日について、1日8時間、1週40時間(第32条)及び週1回の休日の原則(第35条)を定めている。つまり残業や休日出勤はこれに反することになるわけだが、実際に拒否したらどうなるのかを加塚裕師弁護士に伺った。
「これらについては、そもそも使用者の側において労働者に残業や休日出勤を命令しうる法的根拠が必要です。その法的根拠となるのが使用者と労働者代表者との間で締結される時間外労働についての労使協定、いわゆる36協定です」(加塚裕師弁護士)
加塚裕師弁護士が言う労使協定のことを、労働基準法の規定条項である第36条をとって「36協定」と呼んでいる。そしてこの36協定は「労使協定をし、行政官庁に届け出た場合においては、(32条、35条の規定にかかわらず)、その協定に定めるところによって労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる」と規定している。つまり要件を満たせば残業や休日出勤の命令は違法にならないのだ。
では、有効な36協定と正当な法的根拠を備えた残業や休日出勤の命令を拒否した場合、労働者はどんな処分になるのだろうか。
「有効な36協定が締結されている場合、使用者は労働者に対して残業や休日出勤を命令できます。かかる前提で労働者がその命令を拒否した場合、その拒否の態様によっては解雇が正当化されることになります(残業命令違反に基づく懲戒解雇を有効と判断した最高裁判決においても、労働者側が単に命令に従わなかったという事情の他、会社から始末書を提出するよう求められていたにもかかわらず提出しなかったという事情も認定されています)」(加塚裕師弁護士)
過去の判例においてもそうだったように、拒否すれば解雇も有り得ると加塚裕師弁護士は言う。
10月27日に「ブラック企業大賞2015」のノミネート企業が6社発表された。
現在投票を受け付けており、11月29日に大賞が発表されることになっている。
さて、冒頭で触れた佃製作所であるが、長時間労働と徹夜勤務をさせているため、ブラック企業大賞にノミネートされるだけの条件は整っているように見える。
しかし法的に許されない勤務条件であっても、良い会社か悪い会社かの判断は一概には決めきれない。なぜなら、そこには人それぞれの考え方があるからだ。勤務条件は最悪だが、社長も含めた社員全員が同じ志をもって一丸となっているような佃製作所を良しとするかそうでないかは、やはり人それぞれ違うだろう。さて、貴方はどうだろうか。