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公園などで起きる事故と、それに伴う公共団体への損害賠償事例

2001年、兵庫県明石市で起きた、人工砂浜の陥没によって4歳の女児が亡くなった事件。
10年以上前の事件ですが、印象に残っている人もいるのではないでしょうか。
砂浜を散歩していたであろう父と娘を襲った悲劇は、私たちへの警鐘にもなりました。

一審は無罪でしたが、二審では有罪。

今回、当時の国と市の管理担当者4人を業務上過失致死罪で有罪判決とすることが確定しました。
2004年の一審神戸地裁の判決では「現場に異常はなく、危険が予測できなくてもやむを得ない」とし、一度無罪判定が下されました。

ですが、その後の二審大阪高裁で判決が逆転。
「過去の陥没地点と構造は同じで、事故は予測できた」とし、最高裁もこれに同じ理由を以て、有罪判決を下しました。

有罪判決までの長い道のり。
被害者である遺族の方々の徒労は計り知れません。

こういった環境や設備の不備を扱う事件に関して、スポットライトはいくらでも多方向から当てることができます。
だからこそ、判決が二転三転する可能性も秘めているのでしょう。

公園や類似施設での訴訟事例のご紹介

公園などの事故において、設置や安全管理の瑕疵が認められた事案は、その大半が民事事件(損害賠償請求事件)ですが、中には砂浜陥没事故のように、刑事事件として扱われるケースも出てきています。(参照元:http://ow.ly/zUYbg)

■サッカーゴール 転倒死亡事故
サッカーゴールを一旦倒して移動させ、再度立てかけたところ、急に倒れて下敷きになり死亡
■テニス審判台 転倒死亡事故
保護者がテニスをしている間に幼児が審判台に上り、後部から降りようとした際に、審判台が倒れ下敷きになり死亡
■プール 水死事故
幼稚園内のプールで水遊びしていた園児が溺れて死亡。
■日時計 下敷き死亡事故
児童が小学校の校庭に設置された日時計に登り、倒壊して下敷きとなり死亡。
■道路側溝 転倒事故
持ち上がっていたU形側溝の蓋に足を取られて転倒した事故
※民事事件では、利用者側に何らかの過失があった場合、損害に対する公平な過失相殺が行われています。

公園の池で子供が水死した場合

この場合、公園側の責任を追及することはできるのでしょうか。

答えは当然ですが『わかりません』。つまり『事故の詳細次第で結果が変わる』ということになります。

例えば公園は、事故防止を踏まえ、子供が誤って池に落ちないように頑丈で高い柵をめぐらせる必要があったのでしょうか?しかしその代わり、美しい景観が損なわれることはありませんでしょうか。

「誤って落ちやすい場所であるかどうか、落ちたら死亡などの重大事故になりやすいかどうか、景観をそこなわずに事故を防止する方法があるかどうか、などを多角的、総合的に検討して結論を出さなければなりません」
(『相手を訴える法律知識』自由国民社より引用)

そもそもすべての事件に関して、その事件を照らし出すスポットライトは1つでも多く必要とされます。

そのスポットライトを照らすのは弁護士、検事、当事者の方々です。

平和で安穏とした日常が常に保障されているとは限りません。

何か事件に巻き込まれたときに備えて、日ごろから法律に対するアンテナを張り巡らせておくことは大事となっていくでしょう。

執筆  ハルノミチ