HOME > 法律コラム > 仕事初めを仮病で欠勤!仮病や詐病で損害が発生した場合の法的責任とは?
土日と重なったことで連休が短った年末年始だが、今日から仕事始めを迎えた方も多いだろう。
何時に起きても、誰にも怒られない連休から一気に現実に引き戻される目覚まし音。この先、一生慣れることなんて有り得ないと再確認させる通勤ラッシュ。
今年は頑張ろうと誓った元旦から一転、いざ仕事始めを迎えると憂鬱だ、という方は少なく無いだろう。
しかしいくら辛くても仮病で休むことだけはオススメしない。
そこで今回は詐病や仮病によって、損害が発生した場合の法的責任を蓮見和章弁護士に伺った。
「仮病と発生した損害の間に相当程度の因果関係が認められる場合には、損害賠償が発生する可能性があります」(蓮見和章弁護士)
仮病が会社に損害を与えた場合、賠償責任を問われる可能性もあると話す蓮見和章弁護士。
では仮病を理由に有給を申請した場合はどうだろうか。
「勤務先に対して仮病を理由に有給を申請した場合では、直ちに損害賠償請求が発生するとは限りません。基本的に労働者には年休自由の原則が認められるためです。もっとも嘘をついても一切損害賠償が認められないわけではないので、注意は必要です」(蓮見和章弁護士)
何においても嘘はいけないということだろう。
続いて詐病について伺ってみる。ちなみに仮病が欠勤などその場しのぎに使われることが多いことに対して、詐病はその目的が実益を得ようとする点で異なる。
「いわゆる詐病でよく犯罪行為となるのは、保険金や社会保障の不正受給です。この場合は、保険会社や公的機関を騙して本来もらえるはずのない金銭を受給することになるわけですから詐欺罪(刑法第246条)が成立することになります」(蓮見和章弁護士)
詐欺罪は10年以下の懲役である。では不正受給がバレた場合の損害賠償はどうだろうか。
「詐病によって保険金を受け取ったケースでは、支払った保険金額分に加え、保険金支払のために行われた諸手続きの費用も損害として認められると思います」(蓮見和章弁護士)
場合によっては民事上の責任だけでなく、刑事上の責任まで問われる仮病や詐病。ここまで読んでいただいた方であれば、それを利用することの怖さは分かって頂けただろう。
憂鬱な月曜日の朝、慣れることのない通勤ラッシュ、不愉快な上司や高圧的な取引先など、確かに会社に行きたくない理由を上げだしたらキリがないが、嘘をついてまで休もうとする前に、まずは自分の健康状態に問題はないだろうか。
十分に眠れなかったり食生活が乱れていれば、仕事はおろか、プライベートでさえもうまくやっていけない。睡眠と運動、友人や家族との時間、これらを一旦見直すことが、結果的に仕事にも活きてくるだろう。