HOME > 法律コラム > 離婚の慰謝料を高額請求しても自分が損するだけだった!慰謝料の基準とは?
芸能人や有名人の浮気や不倫に伴う離婚の慰謝料と聞くと、思わず高額を思い浮かべるだろう。根も葉もない情報ではあるが、実際にインターネットで調べてみると沢山のページがヒットする。
しかし、これが一般人となるとそうはならない。ではこの慰謝料、一体どうやって決められているのだろうか。
平成24年度の司法統計では、異性関係を原因とした離婚は男性が2位、女性は5位となっている。
また厚生労働省が今月2日に発表した最新の人口動態統計の年間推計によると、離婚率は2015年で0.18%(概算値)であった。つまり浮気による離婚は、決して他人事ではないのである。
そこで今回は、その算定基準について星野宏明弁護士に伺った。
「明確な基準がない請求権の代表例として、慰謝料があります。慰藉料の算定は、裁判所が全ての事情を総合考慮して決定します」(星野宏明弁護士)
慰謝料は、全ての事情を考慮して裁判所が決めるとのこと。では相場はあるのだろうか。またどのような算定方法となるのだろうか。
「離婚慰謝料、不貞慰謝料であれば、婚姻期間や不貞の回数、態様、侵害された婚姻関係の状態をメインに判断し、普通の夫婦であれば、100万~300万の範囲内に収まるのがほとんどです」(星野宏明弁護士)
慰謝料とは目に見えない精神的な損害をお金に換算することでもあるが、一般的な夫婦では多くても300万円とのこと。これを多いと見るか少ないと見るかは人によって変わるだろう。
では離婚時の慰謝料ではなく、通常の精神的な損害賠償と聞くと、請求額よりも判決で命じられる金額が低いというイメージがあるが、あれはどうしてなのだろうか。
「請求額よりも判決で命じられる金額の方が低くなることが多いですが、これは何も請求額の7割とか8割で判決を適当に下しているわけではなく、原告は通常、自身の精神的苦痛に対する評価を大きく(最大限)主張するのが通常だからにすぎません。したがって、請求額を大きく盛れば、最終的な判決の金額も大きくなるという関係にはありません」(星野宏明弁護士)
「請求額を必要以上に高く設定することは、請求額に比例して高くなる印紙代の無駄でしかありません」(星野宏明弁護士)
「他方、民事訴訟では、判決は原告が訴えた範囲内でしか判断を示してはならないルールとなっているため、請求額よりも高い判決が下ることはあり得ません。もちろん請求額と同じ満額が認定されることはよくあります」(星野宏明弁護士)
離婚によって傷ついた精神的なダメージ。この目には見えない精神的な損害を、自分自身でお金に換算しようとすれば、それは自然と額も大きくなるだろう。
しかし多くすればするほど、なんとその分の印紙代がかかるという。
星野宏明弁護士の言うとおり、相場以上に請求することは、あまり賢い行為とは言えないのかもしれない。
もしも現在進行形で離婚による慰謝料請求を考えている方がいるならば、まずはどれくらいの額が妥当かを専門家に相談してみてはどうだろうか。