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会社は健康診断を実施する法的義務があるの?実施しなかった場合の罰則は?

健康経営という言葉をご存知だろうか。これは会社を構成する従業員一人ひとりの健康を大切にすることが、結果的に会社の生産性の向上に繋がるとされている経営手法の一つである。

日本では、ブラック企業問題などが顕在化し始めた2009年頃から取り組みが始まった。この取組によるメリットは2つ。一つ目はブラック企業問題の解消。二つ目は医療費の削減である。

日本政府もこの取組を後押ししており、本日21日に経済産業省と東京証券取引所は共同で、健康経営に力を入れている企業を「健康経緯銘柄」として、25社の選定を行った。

そんな今後の取組みが益々期待される健康経営だが、そもそも会社が従業員の健康診断を行うことに法的な義務が存在するのかどうかを清水陽平弁護士に伺った。

会社には健康診断を実施する法的な義務があり、違反した場合は罰金50万円

早速、会社には従業員に対して健康診断を実施する法的な義務があるのか伺った。

「会社が、従業員の健康診断を実施するのは、法律上の義務に基づいています」(清水陽平弁護士)

具体的には、どのような法律なのだろうか。

「具体的には労働安全衛生法(労衛法)という法律で、事業者は労働者に対し、医師による健康診断を行わなければならないとされており(66条1項)、実施しなければならない診断項目も決められています」(清水陽平弁護士)

「実際には多くの会社が健康保険組合に委託して実施しています。会社に勤めている方は、年に一度、健康保険組合が実施する定期健康診断を受診されていると思います。これが労衛法で義務付けられた健康診断です。一方、従業員は会社の定期健診以外に、任意で、健康保険組合の健康診断を受けることもできるので、健康保険組合の健康診断が全て法的な義務に基づいているという訳ではありません」(清水陽平弁護士)

ちなみに健康診断を行わなかった場合の罰則は、事業者に対して罰金50万円となっている。

健康管理に企業トップが積極的に介入することが重要

今月17日に起こった軽井沢でのスキーツアーのバス事故で、運行会社「イーエスピー」は運転手への健康診断などを怠っていたとして、今月13日付で行政処分(車両使用停止処分)を受けたばかりだった。また報道によると、業務への適性や知識を確認する「適性診断」も受けさせていなかったという。更には当日、社長が遅刻したことが原因となり、出発前の健康確認も行われていなかったことが判明した。

話は変わるが、2年連続で健康経営銘柄に指定されているローソンは、平成13年度から「健康診断を受けない従業員とその上司の賞与を減額」というユニークな取り組みを続けている。これは当時の最高責任者だった新浪剛史氏が、従業員の訃報が立て続けに起こったことが要因となり始まった。

14名の尊い命が亡くなった軽井沢のバス事故。二度とこんな事故を起こしてはならない。そのためにも「法定健診以外は個人任せ」という考え方を改め、従業員の健康管理に積極的に介入する企業トップの姿勢が必要だろう。

取材協力弁護士  清水陽平 事務所HP
東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン共同代表パートナー。ネット上での誹謗中傷対策や炎上対策として、日本人では初となるTwitterやFacebookへの削除・開示の実績あり。その他に損害賠償、刑事告訴など幅広い案件に対応。また数々のメディアへも掲載多数。

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