HOME > 法律コラム > 今年で過払い金が消滅?!消滅する人とそうじゃない人を弁護士が徹底解説!
「過払い金の返金期限は今年まで。平成18年に最高裁で過払い金が認められて今年で丁度10年。過払い金が発生している人は、請求する権利が10年で消滅してしまうため、お手続きはお早めに」。
最近こういった広告を目にしたことはないだろうか。内容自体に間違いはないが、全ての過払い金が消滅するわけではないため、一部誤解を招く表現として疑問の声が上がっている。
ここ数年、過払い金返還の広告については問題視されることが多かった。広告主である法律事務所には慎重な対応を求めたいところだが、ここでは改めて過払い金を請求する権利が消滅する方とそうでない方について、塩澤彰也弁護士に伺った。
そもそも過払い金が発生しているかどうかはどうやって判断すればいいのだろうか。
「平成18年に最高裁で、利息制限法を超える支払いは基本的に全て違法とされました。そのため、各業者は、その後、利息制限法に合致した金利に下げてきました。したがって、それ以降に利息制限法に合致した金利で契約した取引では、過払い金は発生しません」(塩澤彰也弁護士)
平成18年と言われてもピンとこないかたもいるかもしれないが、この年はスポーツ尽くしの1年として、FIFAワールドカップ ドイツ大会や第1回ワールド・ベースボール・クラシック、トリノ冬季オリンピックが行われた。
では次に過払い金が消滅する条件を伺った。
「最後の弁済から10年が経過すると、時効で、請求できなくなってしまいます。逆に言えば、借り始めたのが20年前でも、7年前まで取引をしていた、というような場合には、消滅しません」(塩澤彰也弁護士)
借金をする理由は人それぞれであるが、借り方もひとそれぞれである。例えば生活費の為の借金となると、その回数は一度ではなく、期間も長期となっている可能性がある。また貸金業者の数も一社だけとは考えづらいだろう。
「例えば、利息制限法に違反していたA業者と、平成18年6月まで取引をしていて、平成18年6月に、利息制限法に合致したB業者に借換(A業者の残金100万円を、B業者から100万円を借りて返済)を行ったような場合、2016年6月には、A業者への過払い金が時効で消滅してしまう、という事態が生じます。そのため、早めに、手続きを行うことが大事と言われております。なお、A業者のまま取引は続け、平成18年6月に金利だけ利息制限法に合致した金利に変更された場合には、A業者との取引終了から10年間は時効消滅しません」(塩澤彰也弁護士)
これは非常に重要だ。10年以上も前となれば、記憶もきっと曖昧になっているだろう。どこから借りていたか、また借換を行ったかどうかさえも定かではない方もいるのではないだろうか。そんな方であれば、一度調べてみる価値はありそうだ。
ただし、冒頭でも述べたような、一種の煽りに近い広告を展開するような法律事務所を検討するなら慎重にしていただきたい。また過去に懲戒処分を受けている弁護士も避けた方がいいだろう。
弁護士選びは慎重に。