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家族でも携帯を勝手に見たり、私書を無断で開封するとプライバシーの侵害?

「携帯電話を無断で見たり、私書を許可無く開封することはプライバシーの侵害である」というのは広く知られている。

しかし、これが家族間で行われた場合はどうだろうか。例えば夫婦間で、やましいことがなかったとしても、携帯電話を無断で見られるのは気持ちの良いものではないだろう。また、自分宛てに届いたハガキや手紙を、親に勝手に開封されるのも同様ではないだろうか。

赤の他人は勿論のこと、家族間であったとしても、守られるべきプライバシーは存在するのだろうか。今回はこの問題について清水陽平弁護士に伺った。

そもそもプライバシーとは?

そもそもプライバシーとはどのように定義されるのだろうか。

「プライバシーというのは非常に多義的な意味を含むものであるため、一概に定義することは難しいのですが、プライバシーとして保護されるためには、一般的には以下の要件を満たすことが必要とされます。
(1)私生活上の事実、または事実らしく受け取られるおそれがある事柄であること
(2)一般人の感受性を基準に公開を欲しない事柄であること
(3)一般に未だ知られていない事柄であること」(清水陽平弁護士)

三島由紀夫の長編小説「宴のあと」は、モデルとされた人物からプライバシーの侵害だと主張されて、長期の裁判沙汰となったことでも有名だが、そこで提示されたのが上記の3つの要件である。

家族間でもプライバシーの侵害は成立する

では家族間で携帯を勝手に見たり、私書を無断で開封するのはどうだろうか。

「携帯の中身は通常自分だけのものですし、自分宛の手紙も自分の管理下にあるべきものです。そのため、携帯電話の中身も手紙の中身もこの要件を満たすことになり、プライバシーとして保護されることになります」(清水陽平弁護士)

「そして、プライバシーは一人一人に認められているものであるため、家族だからといって侵害してよいものではありません。家族だと一定程度そのようなことが許容されることがあるのは、それをあらかじめ明示的に又は黙示的に許容しているか、侵害があったとしても後から追認しているかのどちらかということになります。要は『家族だから多めに見ている』だけに過ぎません」(清水陽平弁護士)

親しき中にも礼儀ありということわざがあるが、家族や夫婦であっても、わきまえるべきマナーがあるということだろう。思い当たる方は、是非気を付けていただきたい。

取材協力弁護士  清水陽平 事務所HP
東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン共同代表パートナー。ネット上での誹謗中傷対策や炎上対策として、日本人では初となるTwitterやFacebookへの削除・開示の実績あり。その他に損害賠償、刑事告訴など幅広い案件に対応。また数々のメディアへも掲載多数。

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