HOME > 法律コラム > 【意外に知られていない】間違って印紙を貼り付けた後でも、還付してもらえるのをご存知ですか?
領収書に印紙を貼付し割印をして、あとは交付するだけ。と思っていたら、宛名を間違えてしまった。
貼付した印紙は割印して汚してしまったから、もう返して貰えない...そう思うのはまだ早いです。
このようなケースは、印紙を返して貰えます。
領収書や契約書に貼る印紙は、印紙税という税金を納税するために貼付するものです。
税金は細かく法律に定められていますので、税金を納税するということは、その法律の要件に合致したということを意味します。印紙税の場合、税金の対象となる「領収書や契約書を作成した」という要件に該当する(専門的には、納税義務が成立する、といいます)と印紙税を納税しなければならないこととされており、そうでなければ印紙税を納める必要はない、すなわち印紙を貼る必要もないのです。
ここでいう「作成」という言葉がキーになります。作成とは、以下の文書の種類に応じて、下記のとおりに定められています。
(1)領収書や注文請書など、取引相手に交付する文書...交付したこと
(2)契約書など、甲・乙両名が押印する文書・・・甲乙両名が押印したこと
作成していないものは印紙を貼る必要はないですから、1については交付しない限り印紙税はかかりませんし、2については両者が押印しなければ印紙を貼る必要はないのです。先の例でいけば、交付していない領収書に印紙を貼ったわけですから、納めなくてもいい税金を納税したわけで、当然ながらその税金は返して貰えるのです。
返してもらうためには、「作成」していない文書をもって税務署に行き、「印紙税過誤納【確認申請・充当請求】書」を提出する必要があります。この申請書に基づき、税務署が「作成」していない文書に印紙を貼っていないことを確認すれば、皆様が指定した銀行口座に、還付金として印紙税額に相当するお金が振り込まれます。
申請書の書き方などは、税務署に行けば、丁寧に教えてもらえますので心配はいりません。
手続きの詳細および「印紙税過誤納【確認申請・充当請求】書」の様式については、国税庁ホームページをご覧ください
http://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/inshi/annai/23120083.htm
上記の手続きを行う場合の注意点としては、「印紙を剥がすようなことはせず、誤って印紙を貼った文書を、そのまま税務署に持っていく」ということです。印紙を返して貰う、と聞くと、印紙を剥がして持っていく、と早合点する方も多いのですが、税務署は領収書や契約書を「作成」していないか否かを確認する必要がありますので、剥がしてしまえばその確認ができない、ということで返して貰えないことになります。
確認できれば間違いなく返して貰えますから、印紙を貼付したまま、税務署に持って行って下さい。