HOME > 法律コラム > 自転車通勤者は必読!知らなかったじゃ済まされない!自転車の交通違反でまさかの事態に!?
忘れもしません。2011年3月11日に起きた東日本大震災。
都心では交通手段が無くなり、帰宅難民で溢れかえりました。所々でタクシー乗り場、バス停には何時間も待つ行列ができる事態に陥りました。
その影響もあり、自転車通勤の人口が急激に増え、当然、自転車の事故も急激に増えてしまいました。
一時期、自転車事故の危険性等、テレビでは取り上げられていたものの、最近ではほとんど取り上げられていません。その危険性や、違反するとどうなるかといった意識は薄れているのではないでしょうか。
「違反なんて、皆もやってるから大丈夫!」なんて思っていたら、大間違えです。
事故は起きてしまってからでは遅いのです。
今回は星野法律事務所の星野宏明弁護士に話を聞いてみました。
なります。
自転車は道交法上,「車両」として扱われており,信号の遵守や車道の左側通行など,自動車に準じた規制がなされています。
特に,近年は競技用高速バイクのブームや,スマホの普及などで歩行者との事故が頻発したため,規制も厳しくなっています。
傘を差しながらの片手運転や,スマートホンを見ながらの運転は,道交法の委任を受けた各都道府県の公安委員会が地域の事情に応じてそれぞれ独自に禁止しています。
例えば,東京都の場合,道路交通規則第8条で「傘を差し,物を担ぎ,物を持つ等視野を妨げ,又は安定を失うおそれのある方法で,(中略)自転車を運転しないこと」を規定しており,雨の日の片手運転も違法です。
また,「自転車を運転するときは,携帯電話用装置を手で保持して通話し,又は画像表示用装置に表示された画像を注視しないこと」とも規定されており,携帯電話を見ながらの運転も当然違法です。
ちなみに,リードを引いて自転車で愛犬の散歩をすることも違反です。
携帯を見ながらの自転車が危ないと感じる人は多いですが,雨の日に傘を差しての運転は多くの人が日常的についやりがちです。厳密には道交法規則で禁止されていることに注意して下さい。
自転車事故の場合も,自動車での事故と同様,双方の過失割合によって,損害賠償の内容が決まります。
よくある裁判例は,信号無視や,走行禁止地帯の走行,出会い頭の衝突の他,歩道走行時の接触事故などに関するものです。
賠償額については,自転車特有のものというよりは,自動車の交通事故の場合と同様に,慰謝料や休業損害,逸失利益,治療費等を個別具体的に算定することになります。
基本的には自転車だからといって,責任が重くなることはないですが,軽くなるというものでもありません。
したがって,自動者事故の場合と同様,死亡事故の場合には,賠償額が数千万円に上ることも珍しくありません。しかも,自動車と異なり,自転車は保険未加入であることが多いため,自動車事故よりも賠償の負担は桁違いです。
自動車運転時と同様の注意義務と責任を負っていることには気をつけてください。
自転車は,歩行者ではなく,あくまで車両としての扱いとなります。
過失致死傷罪もしくは重過失致死傷罪に問われます。
実際,過去には猛スピードで坂を下って歩行者に衝突し,死亡させた事案や,信号無視の事案で重過失致死罪が適用されています。
有罪となれば当然前科がつきます。
すでに説明したように,事故が起きたときの「責任」は民事の損害賠償も,刑事の刑罰も自動車と異なりません。
したがって,むしろ,責任という観点からは,自転車事故と自動車事故に違いはないというべきでしょう。
自転車事故を起こしても「免停」はないため,自転車には引き続き乗れますが,科される刑罰は同じです。
違いがあるとすれば,自転車は免許制度がなく,未成年から高齢者まで気軽に乗れる反面,自動車に匹敵する自己の危険性と責任があることを運転者において忘れがちである,という点にあります。
気軽に乗れる自転車であっても車のドライバーと同じ責任をもち,高い危険性を孕んでいることを認識しておきましょう。