HOME > 法律コラム > 人事評価において絶対にあってはならないことを弁護士に聞いてみた
人事評価を受ける立場からの不満といえば、大体が五つに集約される。
一つ目は「この上司から評価されたくない」というものだ。二つ目は「そもそも基準がわからない」だ。三つ目は「自己評価が無視された、一方的な評価」である。四つ目は「どうすれば評価が良くなるか教えてもらえない」。そして最後は「評価に公平性が感じられない」である。
評価する側もされる側も、それぞれに言い分があり、お互いが完全に納得するのは難しいかもしれない。しかし、そんなトラブルが起こりがちな人事評価においても、絶対にあってはならないことがある。今回は、それについて星野宏明弁護士に話を伺った。
まずは会社が決める人事評価において、法的に制限はされているのだろうか。
「まず会社内での人事評価自体は、方法が法律で規制されているわけではなく、評価を下げるだけであれば、原則として、違法性の問題はありません」(星野宏明弁護士)
例えば喫煙者はどうだろうか。日本においても、喫煙者を評価しないと定めている会社がある。確かに喫煙者は自身の健康管理がおろそかであると捉えることが出来るが、その一方でタバコは趣味嗜好の一つとみることも出来る。そんな喫煙者の評価を下げることは法的に問題ないのだろうか。
「趣味嗜好に対しても、評価の対象にすること自体は問題ありません」(星野宏明弁護士)
では人事評価において、一体何が問題なのだろうか。
「法的に問題となってくるのは、不当な人事評価を基に、降格や減給、解雇などの措置まで採った場合です」(星野宏明弁護士)
「降格や、減給をするには、就業規則に従い、勤務態度、稼働能率が著しく悪い、規律違反といった正当な理由が必要であり、何ら理由もなく、労働者の同意もなく、降格・減給をすることはできません」(星野宏明弁護士)
「不合理な人事評価を基に、実際に降格や減給といった不利益処分を課すことは、違法となる可能性があります」(星野宏明弁護士)
先程は喫煙者を例にしたが、つまりはその評価を元に、降格や減給、解雇などの処遇が加わるならば、そこには相当な因果関係が必要ということだろう。
人事評価の不満は、冒頭で述べたとおりであるが、実はその原因が評価自体ではなく、その評価決定に至るまでの過程にあると言われている。
「会社の事情も理解しているので、給料が上がらないのはまだ理解できる。しかしこの評価には納得がいかない」や「給料は少し上がったが、去年と比べて特別変わったことがないのに、どうして上がるのかよくわからない」などである。
みんながみんな納得するのは難しいかもしれないが、そこに公平性があるかどうかが最も重要なのかもしれない。