HOME > 法律コラム > 給料は上がるものではなく上げるもの?成果を上げる以外の昇給の方法とは?
以前、人事考課に納得がいかないという理由で訴訟をしたらどうなるのかという趣旨でコラムを掲載した。
プロスポーツ選手が契約更改の際、自身の評価に納得がいかない場合、年俸調停などを起こしたりするが、それをサラリーマンがやったらどうなるのかという内容だ。
話を伺った峯岸孝浩弁護士によると、サラリーマンとしての能力を客観的に評価することはそもそも困難であると回答した。更に、売上は確かに数字で評価できるが、意欲や態度など数字に出来ない部分も総合して判断するため、やはり訴訟は難しいだろうとのことだった。
そこで今回は、成果を上げるという方法以外で給料を上げる方法がないのか、再度峯岸孝浩弁護士に伺った。
「労働組合があれば、労働組合に加入して賃上げ要求をするという方法があります」(峯岸孝浩弁護士)
まずはこう話す峯岸孝浩弁護士。労働組合とは、労働環境の改善を目的とした集団であり、その中には賃上げも含まれる。しかし峯岸孝浩弁護士はこうも話す。
「しかしながら、賃上げ要求をしたからといって必ずしも昇給するわけではありませんし、そもそも労働組合がない会社も多いと思います」(峯岸孝浩弁護士)
厚生労働省の調査によると、労働組合の組織率は年々減っているという。それは中小企業だけでなく、従業員が千人以上の大きな企業であっても同様だ。具体的には、2005年に組織率が過半数を下回り、昨年は45.7%にまで下がったとのこと。
では、やはり成果を上げる以外に給料を上げる方法はないのだろうか。
「会社が一方的に給料を切り下げることは非常に困難ですが、その反面、昇給については会社の裁量が非常に大きいです。どんなに貢献しても評価してくれないような会社であれば、見切りをつけて転職を考えた方がいいかもしれませんね」(峯岸孝浩弁護士)
転職は、自身の過大評価にもつながりかねないが、この考え方は理にかなっているかもしれない。どれだけ成果を上げたとしても給料が上がらないのであれば、正当に評価してもらえる会社に転職すればいいのである。
このコラムをご覧になった方の中で、もしも正当な評価が得られずに悩んでいたら、一度転職を検討してみてはどうだろうか。
具体的には人材紹介会社などへの登録である。登録すると、コーディネーターが過去の職歴や実績を元に、本人の希望年収と照らし合わせながら、最適な転職先を紹介してくれる。
これによって、ご自身の会社内での評価と市場における評価のギャップに気付かされるはずだ。
転職するかどうかはさておき、転職を検討することによる最大のメリットはそこにあり、そのことに気付くことがまずは重要だろう。