HOME > 法律コラム > 交通事故の過失割合を警察や保険会社が決めると思ってる方、それ違います!
「過失割合」ーー交通事故を起こすと、加害者と被害者において、お互いがどれだけ不注意(過失)だったかの度合いを比率で表わす。そしてその過失割合は、加害者の民事責任としての賠償額に大きく影響することになる。
例えばある交通事故の過失割合が、加害者の不注意を8、被害者の不注意を2で認定した場合、被害総額が1000万であれば、加害者は800万を払うことになる。
ではこの過失割合、誰が決めるのだろうか。当事者間では、お互いの主張がぶつかってしまいそうである。では警察や保険会社が仲介して決めるのだろうか。今回はこの問題について飛渡貴之弁護士に伺った。
過失割合は誰が決めるのか、早速結論から伺った。
「過失割合は、裁判所、弁護士、保険会社、いずれも、判例タイムズ社が発行している『民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準』を参考に、今回の事故態様を考慮して、事故当事者間の合意又は裁判所の判断により決定します」
「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」とは、東京地方裁判所の交通専門部の裁判官が、過去の交通事故による判例を元に作成した基準である。そこには事故の類型として「歩行者と四輪車・二輪車との事故」、「四輪車同士の事故」、「自転車と四輪車・二輪車との事故」、「高速道路上の事故」に大きく分けられており、そこに当てはめて過失割合の認定基準が決まっていくという。
では警察や保険会社が決めるというのは勘違いだろうか。
「勘違いしている方が多いですが、警察や保険会社が決めるものというのは誤りです」
「警察は、民事不介入ですし、あくまで、行政処分や刑事処分をするために、過失をある程度判断しているだけです。また、保険会社は、交通事故当事者の一方である相手方の代理に過ぎず、相手方の意見を述べているのみです」
交通事故を起こし警察へ連絡すると、現場に駆けつけた警察官が事故の事実を記録してくれる。その記録が過失割合に影響するが、過失割合自体に警察が介入することはない。
そして、その記録を元に、先ほどの判例タイムズに掲載されている過去の類似した判例に照らし合わせて過失割合を決めていく。
もしも過失割合に大きな争いがあれば、弁護士に相談することをお薦めしたい。