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今年4月施行の障害者差別解消法。日常生活で気をつけるべき事は?罰則は?

障害者差別解消法が施行された今年の4月からわずか1ヶ月しか経過していない5月、衆院厚生労働委員会に参考人質疑に呼ばれた難病の男性の出席が拒否された。呼んでおきながら拒否したその理由は「やり取りに時間がかかる」だった。障害者差別解消法の目的は「障害者に対する差別の解消」であるが、率先して模範となるべき存在の国がこんなことでは何のために制定したのだろうか。言葉が出ないとはこのことだろう。

さて今回は、まだまだ認知度が低い障害者差別解消法が、私たちの日常生活にどんな変化をもたらすのか、あるいは具体的にどんな点に気をつけるべきかをまとめてみた。話を伺ったのはひとよし法律事務所の中嶽修平弁護士です。

多くの人に関連した法律 障害者差別解消法

「まず、この法律は、国の行政機関や地方公共団体、民間の事業者などを対象としています。そのため、一般の方が、個人的な関係で、障害者と接する場合には対象となりません。もっとも、実際には、公務員、会社員や自営業者として仕事をする場合には、行政機関や地方公共団体、民間の事業者という立場となるため、多数の人がこの法律の対象となります」(中嶽修平弁護士)

「そして自分の行為が、この法律によって禁止されている、障害者に対する『不当な差別的取扱い』と『合理的配慮の提供』(民間の事業者に関しては努力義務)にならないように気を付ける必要があります」(中嶽修平弁護士)

対象は一般市民ではなく主に事業者であるという。普段の生活の中で、イチ個人が障害者と接する事があったとしても、そこにこの法律が関知することはないようだ。しかし、中嶽修平弁護士の言うとおり、多くの人が企業や行政、公共団体に属する立場であることを考えると、この法律を無視することは出来ない。

『不当な差別的取扱い』と『合理的配慮の提供』とは?

障害者差別解消法で禁止されている『不当な差別的取扱い』と『合理的配慮の提供』が具体的にどんな行為を指すのか聞いてみた。

「ここで、『不当な差別的取扱い』と『合理的配慮の提供』といっても抽象的で分かりにくいのですが、『不当な差別的取扱い』の具体例としては、障害を理由に入店を拒否する、障害を理由に説明会やシンポジウムへの出席を拒む、盲導犬を連れた障害者が動物は店に入れることができないとして飲食店への入店をするといったことがなどあります。また、『合理的配慮の提供』の具体例としては、車椅子の人のためにスロープや手すり等を設置しない、障害者用の駐車場について健常者が利用することの内容に注意を促さないといったことなどがあります」(中嶽修平弁護士)

以前、車いすの有名人がレストランで入店を拒否されたというニュースが話題になったが、そういったことも禁止行為の一つになるようだ。

対応を後回しにしたり、付添者にのみ話しかけるのは禁止!

「『不当な差別的取扱い』と『合理的配慮の提供』の具体例は多数あり、その全てを紹介することはできませんが、内閣府のホームページの『合理的配慮等具体例データ集』に具体的事例が多数掲載してあるので、ぜひそちらをご覧になってください」(中嶽修平弁護士)

ここでは一部を抜粋してお伝えする。

・障害を理由に対応の順序を後回しにする
・障害を理由に、付き添い者の同行を求めるなどの条件を付けたり、特に支障がないにもかかわらず、付き添い者の同行を拒んだりする
・本人を無視して、介助者・支援者や付き添い者のみに話しかける

禁止行為には罰則も!

島根県松江市が障害者差別をなくす条例を制定し、10月から施行される。

松江市は制定にあたり障害者にアンケートを行ったという。そこには大変多くの貴重な意見が集まったようだが、中でも多かったのは「訴える場所がない」だったようだ。
平成18年施行のバリアフリー法以外では、この障害者差別解消法が直近では障害者に関連した法律となっているが、法律自体がそのような場になり得ることを願ってやまない。

ちなみに先ほどの禁止行為には20万円以下の過料という罰則が設けられている。事業を営んでいる方は具体的な禁止行為の一読をお薦めしたい。

取材協力弁護士  中嶽修平 ひとよし法律事務所代表 熊本県弁護士会所属 大阪大学大学院高等司法研究科修了 熊本県球磨郡出身 地元に密着した法律事務所を目指して開業。依頼者に寄り添い、1件1件誠実に対応。法律で悩みを抱えている方は気軽にご相談下さい。離婚、債務整理、交通事故は初回相談無料。

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