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いじめは感情的にならず淡々と事実認定を優先させる事が解決への有効な初動

秋田県立能代松陽高に通っていた女子生徒(17)がいじめを理由に不登校になった後、転校した問題で、秋田県の第三者調査機関「県いじめ問題調査委員会」が先月の14日に報告書を公表し、いじめがあったことを認定した。

いじめ問題は、特に当事者は感情的になりやすい性質を持っているが、真剣に問題解決を考えるならば、まずはいじめがあったことを証明することが重要だ。何故なら、その証拠を元に、学校や教育委員会に訴えていくことになるからだ。そこでいじめがあったと認められれば、学校や教育委員会が問題解決に務めてくれる。

では、その行為がいじめかどうかは、どのように認定されるのだろうか。この問題について清水陽平弁護士に話を伺った。

いじめとして認定されるかどうかは立場関係も重要

まずはいじめ行為が、どのように定義されているかを伺った。

「『いじめ』とは、一定の人的関係にある者から、心理的・物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む)であって、心身の苦痛を感じているものとされています(いじめ防止対策推進法2条1項)。これに当たることが起こった場所が学校の中なのかどうかは問われません」(清水陽平)

例えばプロレスごっこやじゃれあいなど、一見遊びにもみえるような行為については、判断が難しそうだが、その点はどうだろうか。

「学校生活における日常的な衝突がいじめに当たるとされると大変です。そのため、学校や第三者委員会等は、立場の互換性がないことや、力関係の差が存在することなどもいじめを認定するための要件としていることが多いです。したがって、いじめる側といじめられる側の立場がしばしば入れ替わっていたり、立場の強い子が立場の弱い子をいじめるという構図でない場合は、いじめと認定されないことも多いです」(清水陽平)

学校に対応を求め、それを怠れば学校にも責任が生じる

冒頭述べたように、いじめ問題は認定されることが重要だ。保護者としていじめがあったことを認定させたい場合、どのような方法があるだろうか。

「長期にわたり暴力を加えられているなどといった状況であればともかく、無視や仲間外れなどのいじめは、証拠もあまりないので保護者側で認定することは難しいです。そのため、まずは担任の先生などに相談し、学校側でいじめを調査、認定してもらうことになるでしょう」(清水陽平)

「学校側には生徒の安全に配慮し、安全を維持すべき義務があるので、いじめがあるとの訴えがあった場合には、調査等適切な対応を行わなくてはなりません」(清水陽平)

事実確認を学校に求めるというのもひとつのやり方だという。ここで学校側が対応を怠れば、今度は学校側に責任を問うことになるだろう。

いじめがあったかどうかの事実の認定が重要

冒頭の秋田県のいじめ問題では、報告書でいじめがあったと認定された他に学校側の対応を批判していた。その理由は、女子生徒がいじめの被害を受けていると学校に相談した際、「人間関係のもつれだ」、「当事者間で解決できないか」、「弁護士か警察に相談したらどうか」などと発言し、適切な対応を取らなかったことによるという。

これはいじめが公になることと、その責任の追求を恐れているからだ。そしてこの心理は、第一発見者となる可能性の高い教師が、いじめの兆候を察知しても見て見ぬふりすることと同様だろう。しかし問題を先送りにすることのほうが、逆に問題を大きくしてしまうのだ。そしてそれこそが学校側が最も恐れていることではないだろうか。

いじめの被害者とその保護者は、まずはいじめの事実の認定を優先してみてはどうだろうか。

取材協力弁護士  清水陽平 事務所HP
東京弁護士会所属。法律事務所アルシエン共同代表パートナー。ネット上での誹謗中傷対策や炎上対策として、日本人では初となるTwitterやFacebookへの削除・開示の実績あり。その他に損害賠償、刑事告訴など幅広い案件に対応。また数々のメディアへも掲載多数。

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